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明治時代初期まであった松本藩の藩校「崇教館」で使われた初学者向けの教科書とみられる「幼学」が、江戸時代から続く松本市中央2の書店「高美書店」に残っていたそうです。藩士の子弟への教育の一端が垣間見え、親孝行の大切さを説いた言葉などが並んでいます。
学校を含めた地域社会全体で子育てに取り組んだ昔と違い、「子どものしつけは親の役目」と強く認識されているのが、今の時代でしょう。周囲から「親なら自分の子どもぐらい、きちんとしつけしなさい」と、言われたことのある親は少なくないはずです。
家庭内で、このようなしつけをしていませんか?例えば、「玄関では靴を揃える」ということを、しつけるとします。靴を脱ぎ散らかして家に入った子どもに、どのように言いますか?
「靴はきちんとそろえるものです。わかった?」と言ってしまえば、子どもは自分の行動を否定され、「こういうものだ」と一方的に押し付けられることになります。そうなると、子どもの中に「そんなことはわかってるよ」や「ママだって揃えていないときがあるじゃないか」など、抵抗の心が生まれます。そして、決し揃えないで反発を露わにするか、あるいは、親が見ているところでだけ嫌々やるかのどちらかでしょう。大人も、職場で「そんなこともわからないのか」と言われたら、きっとカチンときてしまいます。それと同じことを子どもにしてしまえば、期待する結果は生まれないでしょう。
結局は、そのことが子ども自身で納得できてこそ、恒常的な行動につながるものです。その納得は、子ども自身の中にある答えなのです。それでは、先ほどの例でシミュレーションしてみます。
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親:「靴がバラバラになっているよ。靴はなんて言ってる?」
子:「痛いよ!って感じかな」
親:「そう。それを聞いてどんな気持ち?」
子:「靴に悪いな〜」
親:「悪いな〜って気持ちなのね。じゃぁ、どうしてあげたい?」
子:「ていねいにそろえてあげたい」
親:「うん、ママも賛成!そういうのを見ていると、とってもうれしくなるよ」
大事なのは、評価や判断を脇に置き、事実をだけを伝えて質問し、子どもの気持ちを受け取ること。そして、答えが出たら、それをしっかりと承認するということです。どんな子どもも、本当はお母さん、お父さんが大好きです。そんなお母さん、お父さんが自分の話をしっかりと聴いてくれて承認してくれるとしたら、こんなにうれしいことはありません。話の最後に、「これからも続けてほしいな」というリクエストを付け加えると、より効果的です。
「しつけ」と呼ばれる多くのことについて、実は子どもはわかっている、あるいは答えを持っているものなのです。だから、一方的に「与える」のではなく、「引き出す」ことを実践することにより、定着するのです。
思春期を迎える年頃の子ども持つ母親から「もっと、きちんとしつけておけばよかった」「私のしつけが間違っていたのかも」という言葉をよく聞きます。でも、教科書やマニュアルがあるわけではないのですから、決して自分のしつけを否定しないでほしいと思います。間違った「しつけ」などないのです。
でも、変えたい、変えようと思ったならば、今日から変えてみることも大事でしょう。過去は変えられませんが、未来は変えられます。
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