上がり症、口下手、内気の対処法！無口な元トップ営業マンが伝授

新入学、クラス替え――春は新しい出会いの季節だ。 しかし、上がり症、しゃべり下手、内気などの高校生には、「知らない人と話すのは緊張する」「新しいクラスで友達ができないかもしれない」「みんなの前で自己紹介させられたらどうしよう」…と、不安な気持ちもあるだろう。 そんな内気な高校生が、ラクな気持ちで春を迎えるにはどうしたらよいのか。内向型営業のトレーナーとして活躍する渡瀬 謙さん（有限会社ピクトワークス (http://www.pictworks.com/)代表取締役）に聞いた。 ■内気なのにトップ営業マンになれた理由 渡瀬さんは元トップ営業マン。その経験を生かして内向型営業マン教育を行う会社を経営。営業方法やコミュニケーションに関する講演や研修などで全国を飛び回り、書籍もたくさん出している。 営業マンといえば、話がうまくて明るい人を想像するだろう。しかし、渡瀬さんは小さいころから極度の人見知りだったという。 「高校時代もクラスで一番無口。先生に指されると顔が真っ赤になり、全身汗だくで机に汗がぽたぽた落ちるほど。先生からはいつも『もっと明るくなりなさい』と言われていて、大きなコンプレックスを抱えていました」（渡瀬さん／以下同） それが、なりゆきで、営業力の高さで知られる会社に営業として入社。しばらくは「全く売れなかった」というが、１０カ月めには全国営業達成率トップとなる。営業成績が急にアップした理由について、渡瀬さんはこう話す。 「性格を変えたのではなく、考え方を変えただけ。自分の性格をそのまま受け入れ、口数の少なさや謙虚さを生かした営業スタイルに変えたことがうまくいきました」 そんな渡瀬さんが変化したように、内気な高校生も、自分の性格を変えずに新しいクラスでの居心地を変えられるかも？！　渡瀬さんが自らの経験をふまえてアドバイスするのは、次の３つ。 ■アドバイス１：内気な性格を「自分の個性」と認めよう まず渡瀬さんが勧めるのは、自分の性格を否定せず、受け入れること。 「性格に良い悪いはありません。内気な性格も、『背が高い』『やせている』などと同じように、個性のひとつ。みんなと同じでなくていいんです」 実は、渡瀬さんが自分のことを極度の内向型だと人前で言えるようになったのは、ごく最近のこと。ずっと自分の性格を好きになれないまま営業コンサルタントの仕事をしていた渡瀬さんだが、ひょんなことから、自分の失敗をさらけ出して“内向型で売れずに悩んでいる営業マン”に向けたアドバイス本を出版。内気な性格のトップ営業マンというギャップが人の興味をひいて本は売れ、雑誌の取材やラジオ出演、セミナー講師などの依頼が一気に増えたという。 「私が明るく話し上手な性格だったらこうはならなかったはず。それまで欠点だと思っていたことは、実は最強の武器だったのです。今では、自分を否定して生きてきて損したな、と思っています」 使いようによってはプラスにもなる内気な性格。まずはその可能性の大きさを知っておきたい。 ■アドバイス２：内気であることをオープンにしよう 次に渡瀬さんが勧めるのは、「集団より一人でいるのが好き」「ぼくは初対面の人とはうまく話せない」など、内気な自分の性格について誰かに話してみること。 「自分の内向性はつい隠したくなるものですが、実は周りの人はみんなわかっています。無理して隠すより、素の自分を出したほうがずっとラク。嫌われるんじゃないかと思うかもしれませんが、意外とあっさり『そうなんだ』と認めてくれるものですよ」 特に、入学やクラス替えは、自分をオープンにするチャンス。みんなの前で自己紹介をする時などに、自分が内気な性格だということを話してしまうのもひとつの手だ。 「勇気がいることですが、みんなの前で自分をごまかさず正直に言うことができれば、付き合いやすい人だと好印象をもたれるのではないでしょうか」 ■アドバイス３：辛い経験こそネタになるかも！？ なかには、自分の性格のためにイヤな思いをしたり、苦しんでいる人もいるかもしれない。そんな人に向けて、渡瀬さんはこうエールを送る。 「マイナスの経験こそ、人は共感してよく聞いてくれるもの。私も講演や本の中で、自分の内向性によって苦労したエピソードをたくさん話しています。あんなに辛かったことが、今はネタとして仕事に役立ってるのです。皆さんも、いつか自分の経験を生かせる日がくるかもしれませんね」 ● 自分のことを内気だと思っているみんな、ぜひ自信をもって新年度を迎えよう！ 渡瀬 謙 サイレントセールス・トレーナー／有限会社ピクトワークス代表取締役 主な著書：『内向型人間の人づきあいにはコツがある』（大和出版）、『内向型営業マンの売り方にはコツがある』（大和出版）、『「しゃべらない営業」の技術』（ＰＨＰ研究所）、『相手が思わず本音をしゃべり出す「３つの質問」』（日本経済新聞出版社）など多数