道州制実現による経済効果

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2014年03月30日 17:10  JIJICO

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中央集権下での繁栄には限界がある


道州制というのは、現在の「県」という括りを廃止し、全国を9つの道州に分けると同時に、国の権限を国防や外交などの必要最小限のものに制限。その他は、地方に移管しようという制度です。米国の連邦制をイメージするとわかりやすいかもしれません。※道州の数や移管する権限の範囲については、論者によって差があります。


日本はこれまで中央集権の下で繁栄してきましたが、さまざまな限界が生まれています。一方で、シンガポールや北欧諸国、スイス、オーストリアのように人口が1千万人以下でも、高水準のGNPを達成している国もあります。道州制を推進する理由として、迅速な意思決定には最適な規模があり、権限を地方に譲渡することで無駄がなくなり、地域の活性化につながるという考えが根底にあります。


表裏一体の経済的メリットとデメリット


道州制の下では、これまで「県」を単位に構成されていた行政組織や経済単位は存在意義を失うことになります。わかりやすいのは、これまでは各県に県庁が存在し、それぞれが公共工事を発注し、地元の業者と消耗品やサービスの契約を結んでいました。道州制の下では県庁がなくなりますから、組織も仕事もなくなることになります。同様に県庁の関連団体、出先機関など各県に一つずつ割り振られていた組織も存在する理由はなくなります。大企業の支社も撤退しますから、県庁所在地の人口は減少し経済活動が縮小。これらは全て、各州の州都に集中することになります。


一方で、各道州はこれまで国が担っていた仕事の実施主体となりますから、各道州では新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。また、医療や教育などの各種制度や経済運営など、各道州は独自性を発揮することが期待されています。全国一律ではなく、強いものを更に強くすることで競争力を高めることや、革新的な道州での規制緩和など、独自性が生み出す格差がビジネスチャンスにつながるわけです。更に、道路などのインフラ整備や産業誘致、農業振興、観光振興は県を超えた広域で行った方が効果的と言われています。


中央集権体制は、税収を再配分するとことで国家全体の均質的な経済的水準を可能としていました。道州制では、各道州は徴収した税金を逆に上納することになりますから、中央政府からの補助金や交付金は期待できません。今までのように中央政府に依存することはできなくなり、経済的繁栄は各道州のリーダーの政策が大きな比重を占めることになります。



(西谷 俊広・公認会計士)

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