近大の飛躍を支える広報のチカラ

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2014年04月04日 15:10  JIJICO

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産官学のコラボレーションで「近大マグロ」はメディアで話題に


近畿大学(大阪府東大阪市)といえば、最近、報道で大学名を目にすることが多くなった大学の一つ。2014年の私立大学一般入試の志願者数が10万5890人と、初めて全国1位になりました。4年連続の快挙を成し遂げた明治大学を抑えて、堂々の1位です。


近畿大学を飛躍させている要因は複数ありますが、その一つとして「近大マグロ」が挙げられます。近畿大学水産研究所(和歌山県)が1970年から研究を始め、2002年に世界で初めて完全養殖に成功したマグロです。近畿大学発のベンチャー企業「アーマリン近大」を通して飲食店などに使われており、昨年2013年4月、グランフロント大阪北館に、近畿大学とアーマリン近大、研究所の所在地である和歌山県、サントリーグループとが連携した「近大卒の魚と紀州の恵 近畿大学水産研究所」が開店しました。2013年12月には、東京・銀座に2号店を開いており、これも、関西圏の大学が関東で名を馳せるようになった一因といえます。企業(サントリーグループ)と行政(和歌山県)、大学(近畿大学)という産官学のコラボレーションは、メディアで話題になりました。また、2014年3月31日付から全8回の連載が始まった、毎日新聞夕刊の記事「近大マグロ世界へ」によれば、米国ニューヨーク出店も目指しているようです。


「完全ネット出願」も要因の一つ


また、「近大エコ出願」と銘打っての「完全ネット出願」も、今年度の入試で全国初の取り組みとして注目を浴びました。大学出願といえば「出願用紙に記入して」というのが本流ですが、パソコンのみならずスマートフォンからも入力できる手軽さや、受験料を3000円割引するというお得感が受けています。


大学といえば、最近では、国内有名大学ではなく、海外の大学をあえて選ぶ高校生が注目されたり、就職試験では、青年海外協力隊の経験者を優遇したりする全国の取り組みが知られていますが、大学選びには、ブランド力や知名度がまだまだ優勢ではあります。東京では東大のほか、早慶やMARCHと言われる私大グループ、関西では京大や関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)など。近畿大学は、今年の志願者数において、これら有名どころに打ち勝ったわけです。


地道な作業を続け、好感を持ってもらうことこそが「広報の真価」


近畿大学のホームページを見てみると、トップページにある「新着情報」でも、ほぼ毎日コツコツと、情報発信を継続して行っています。新聞に掲載されたら、それだけで満足して終わってしまう組織も多い中で、「掲載された」ということ自体を公式ホームページできちんと発信しています。これは、忙しい中では、ついついおろそかになってしまうし、地味な作業ではありますが、重要なことです。公式ホームページは組織の顔であり、どんな人も、その組織の活動を知りたければ、まずは訪問する場所。そこが停滞していれば、せっかく活動していても「何もしていない」とも見られてしまいます。


「近大マグロ」は、大学が注目を浴びるために手っ取り早く始めたものではありません。1970年から手がけていたプロジェクトが2000年代に入り、「ようやく結実したものである」ということを強調しておきます。メディアで取りあげるには「広報すればいい」などと、広報を無償の広告と勘違いしている人も少なくないと思いますが、「ただ露出させればいい」というものではありません。きちんと積み上げてきた実績があってこその広報であり、その「実績=宝物」は、内部にいる人すら気づかない場合もあります。それを磨きあげ、社会にわかりやすく知らしめ、好感を持ってもらうことこそが「広報の真価である」と言えるのだと思います。



(井出 留美・広報)

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