なぜマスクを手放せなくなるのか?

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2014年04月05日 15:10  JIJICO

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女性に多く見受けられ、若い人ほど傾向が強い「伊達マスク」現象


風邪でもないのに、季節を問わずマスクを着用する「伊達マスク」といった現象が、街中で見られるようになりました。これは女性に多く見受けられ、年齢の若い人ほど、その傾向が強くなっています。


マスクといえば、これまでは風邪や花粉症対策のために着用するものでした。また、主に医療現場で用いられ、衛生面から着用されるのが一般的です。しかし、最初は衛生面からの利用であっても、しばらくつけている内に、今まで顔の半分近くを覆っていたものを取り払うことに抵抗を感じて手放せなくなり、「マスク依存症」につながるケースもあります。


「伊達マスク」は嘘を隠そうとする心理と近い


伊達マスクを愛用する心理をひも解くには、人の心理、そして人間関係におけるコミュニケーションにヒントが隠されています。


コミュニケーションといえば、会話など「言葉を使ったやり取り」とイメージされますが、それだけではありません。人のコミュニケーションは、耳や口で行うコミュニケーションよりも、相手の目線や顔の表情を読み取るコミュニケーション、つまり、目を使ったコミュニケーションが大きなウエイトを占めているのです。


表情には、その人の気持ちが強く表れます。無意識で出てしまうものなので、自分に自信が無く、心の内を読み取られたくない場合は、隠そうとする心理が自然と働くのです。そのための手段として手頃に用いられるものが、マスクというわけです。嘘を隠そうとするとき、なるべく表情に表れないようにしませんか?ちょうどその心理と近い状態が、伊達マスクをするのと同じ現象といえるでしょう。


自信の無さを隠せる安心感を得ると「マスク依存症」にも


心理的には自信の無さを隠すためであっても、対外的には風邪予防、花粉症対策などと捉えられるし、自分もそう言っておけば疑われることもないので安心です。常時マスクをしていても、相手にメンタル的な弱さを印象づけることはありません。このように、利便性の面から比較的抵抗もなく手軽に用いられるのがマスクであり、特に思春期の若い女性に多く見られるように、多感で傷つきやすい人にとっては重宝されているのでしょう。しかし、一度得た安心はなかなか手放すことができず、「マスク依存症」として軽い依存にも結び付いてしまいます。


昨今の大気汚染物質の問題からも、これからマスクを愛用する人が増え、伊達マスク現象はますます社会現象になっていくかもしれません。



(宮本 章太郎・心理カウンセラー)

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