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先のソチ五輪スキー・モーグル競技で4位となった上村愛子選手。3月末に、長野県白馬村で開催された全日本女子大会の優勝をもって引退しましたが、そのラストランをファンとともに見守った母・圭子さんと上村選手が互いに「ありがとう」をかけ合う親子の様子が報道され、多くの人々の共感を集めました。
その際の上村選手の「母が一番の応援団長」という言葉。私は、このお母さんこそ最良のコーチだと思いました。そうなんです。子どもの一番身近にいるお母さん、お父さんが、子どもにとっての最高のコーチになれる存在なのです。
日本では「コーチ」というと、専門的な技術や練習の取り組み方、良いメンタルの保ち方など、テクニカルなことを教え、アドバイスする存在と思われがちです。しかし、それは「ティーチャー」であり、「アドバイザー」です。コーチにとって最も重要なのは、ティーチャーでもアドバイザーでもなく、実は「サポーター」の要素なのです。
では、「サポーター」と聞くと、何を思い浮かべますか?おそらく、「サッカーのサポーター」を思い浮かべる人が多いと思います。先日、Jリーグで無観客試合が行われました。選手は、「もう、こんな中で試合はやりたくない」と口をそろえました。もしかしたら選手にとってサポーターは、監督やスタッフよりも、自分のモチベーションやパフォーマンスを上げてくれる大切な存在なのかもしれません。
サポーターは、選手に技術指導するわけではありませんし、メンタルのアドバイスをするわけでもありません。「ついてるぞ」と背中を押し、時にブーイングで叱咤する、選手を見守り支える存在。その究極は、まさに「応援団長」です。
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お母さん、お父さんは、普段から子どもの生活を支えている存在ですから、すでにコーチになれる要素を備えているわけです。ただ、注意が必要なのは、「サポーター」ではなく、「ヘルパー」になってしまうこと。この二つは似た言葉ですが全く異なります。ヘルパーは介護で使われるように、その人が困難なことを代わりにやってあげる人を指します。子どもに対して、「あぁ、そんなんじゃ危ない」「もう、じれったいんだから」と、ついつい手を貸してしまうことはありませんか?それこそが、ヘルパーになるということです。
例えば、サッカーの選手は、いったんグラウンドに出れば、誰も助けてはくれません。瞬時に自分で考え、行動しなければならないわけです。サッカーに限らず、一流のスポーツ選手は皆、自分の力でプレーします。親が常にヘルパーでいては、子どもは人生のフィールドを自分の力でプレーする選手にはなれません。子どもが人生のフィールドを自由に駆け回る人間になるため、親は「応援団長」という名の最高のコーチになってください。
そして、応援メッセージのシャワーを浴びさせてあげてください。「ガンバレー!」「ついてるぞ!」「大丈夫!」「できる!」「信じてる!」「安心していいよ!」「大好きだよ!」「感動した!」「サイコー!」「楽しみだね!」「ワクワクしてきたね!」「誇りだよ!」「生まれてきてくれてありがとう!」。応援メッセージはいくらでもあります。お母さん、お父さんの愛情をバックに、子どもは自らの歩みをはじめます。
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