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アメリカで「瞑想法」を受刑者に実施して教育効果を上げている刑務所が増えています。産経ニュースの報道によれば、受刑者の精神が安定することで刑務所職員の負担が減り、出所後の再犯率も減少しているとの結果が相次いでいるようです(オレゴン、アラバマ、ニューハンプシャー州)。
あるセラピストは、「受刑者の多くは攻撃的で酒、ドラッグ、ギャンブルに溺れて罪を犯してきた。瞑想で彼らの精神状態を変えるのが私の使命だ」といいます。取材されていた例では、希望者9名を対象として、2名のセラピストが週1回1時間の瞑想を行っており、時間的、経済的に非常に合理的です。職員の証言によれば、受刑者の規律意識や対人接触が良くなり、職員の負担が減り、また、受刑者の精神安定剤の処方量も減って、州予算削減につながるということです。オレゴン州では、出所後の再犯率が50%に減少しました。
この受刑者教育への瞑想の導入の試みは、アメリカ以外にカリブのドミニカ国や西アフリカのセネガルでも実施され、劇的な効果を上げています。アメリカ、ロシア、ドミニカ等は、人口10万人あたりの投獄率が最も高い国とのことです。
一口に瞑想と言っても、様々な流派があり、それぞれに異なる瞑想の技法を用いていますが、共通するのは、一定の技法によって意識を集中することにより、程度の差はあれ通常とは異なる高次の意識状態に意識を高める技術を指します。現代の種々の瞑想法は、源流は古来世界各地で発祥した宗教に遡りますが、宗教とは関係なく、あくまで精神修養の技法です。
瞑想法のひとつ、超越瞑想を例にとってみます。古代ヴェーダ文献によれば、意識には、目覚め、眠り、夢、そして超越の4つの形態があり、超越瞑想はこの超越に心を持っていきます。超越は至福の状態といわれ、落ち着き、平和、受容が現れます。この状態に至ると、心の雑音が静まり、高揚感とともにポジティブな発想が現れ、創造的な着想が生まれることも可能といいます。また、脳波上でも落ち着きと集中力の高まりを示す変化が現れ、血圧が下がり、ホルモン上の変化も確認される等、科学的な検証がなされています。ストレスが和らぎ(リラクゼーション効果)、不安や怒りが消えていくため、高血圧やメタボリックシンドローム、抑うつ、依存症などの治療によい影響を与えるようです。超越瞑想に限らず他の種々の瞑想法に心理療法的効果が認めれるとされています。反面、副作用は少ないようです。
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瞑想の治療的な効果が科学的な裏付けを持ったものなので、アメリカでは超越瞑想が受刑者の教育をはじめ、退役軍人のPTSDの治療、暴力的な環境で生きている子どもたちの教育、アメリカ先住民の糖尿病治療にも応用されています。
受刑者は瞑想中に服役していることを忘れ、例えば、街の道路を歩いていて平和に生活している自分をありありと思い描いたりするそうです。受刑者にとって、20〜30分程度のこの意識の体験は、文字通り救済となるでしょう。別の受刑者の証言では、瞑想による超越の体験によって、刑務所で提供されている社会復帰のための種々の教育プログラムを真に受け入れる心の準備が整うといいます。
終身刑受刑者が瞑想によって出所に至り、きちんと社会復帰を果たした例もいくつも存在するそうですから、こうした例も含めアメリカでの試みが今後も追跡調査されることに大いに関心が持たれます。
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