五月病を予防する漢方の選び方

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2014年04月22日 15:10  JIJICO

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五月病、医学的には「気分障害」「不安障害」と診断


今や現代社会の風物詩ともなってきた「五月病」。この五月病ですが、病院などで正式に使われる病名ではありません。医学的には、新しい環境についていけないことで起きる精神疾患の「気分障害」や「不安障害」と診断されます。この気分障害には、抑うつ感が現れる「うつ病」や、暗いうつ状態と明るい躁状態を繰り返す「躁うつ病(双極性障害)」、長期にわたって不調がつづく「気分変調症」などがあります。


新入生や新入社員に限らず、転勤・家族の環境変化による生活リズムの乱れなどで誰にでも起こりうる5月病は、その対策をしっかりとしておくことが大切です。


元気不足タイプ?それとも、気の巡りが悪いタイプ?


五月病の予防を考える際に大切なのは、「どんな人が五月病になりやすいか?」を知ることです。


(1)元気不足タイプ
元気不足の人は要注意です。漢方の世界では、「気」はすべての基本となるエネルギーのようなものと考えます。その気が少ない「気虚(ききょ)」と呼ばれる状態の人は、体力も無いので気疲れもしやすく、ストレスに対しての抵抗力が弱くなると考えます。このようなタイプへの代表的な方剤では「補中益気湯」などがあります。


(2) 気の巡りが悪いタイプ
元気不足の人と反対に、このタイプは「気」は十分にあるのですが、それがきちんと体の中を巡らない状態を言います。漢方的には、さまざまな理由で気の流れが滞り精神的な症状が現れる「気滞(きたい)」と言われる状態ですが、これは「詰まったような症状」や「張ったような症状」を訴える例があげられます。このタイプに使う代表的な方剤は「加味逍遥散」などがあります。


たとえて言うならば、「気虚」は燃料が無くて動かないタイプ。だから燃料(気)を補ってあげて改善していきます。一方「気滞」タイプは、燃料はあるが、それがちゃんと巡らないために動かないタイプです。滞っているところを通してあげて、流れを良くして改善していきます。


「自分は疲れるとメンタルのバランスを崩しやすい」という人は、ほかの原因もありますが、まず「元気不足タイプ」か「気の巡りが悪いタイプ」かを考えてみると良いでしょう。


間違った漢方薬を選ばないために


最終的に、薬を選ぶときは、きちんと専門家に相談することをオススメします。気虚や気滞への漢方薬は数え切れないほどあります。体質や体調に合ったものを服用しないと、効果がないばかりか、逆に体調を崩す場合があります。


燃料(気)不足なのに、めぐらす薬を使えば、燃料が空の状態でエンジンばかり回してオーバーヒートしてしまいます。また、燃料(気)はすでにいっぱいあるのに、間違えてたくさん補給したら溢れかえってしまいます。


メンタルの悩みに使用される安定剤や向精神薬などに比べると、漢方は体にやさしいと考えますが、それだけに正しいものを選びたいものです。正しい五月病対策で元気に春を乗り切りましょう。



(早川 弘太・医薬品登録販売者)

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