「やかん」が教えてくれたこと 〜子どもへの要求レベルは適正?〜

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2014年05月15日 10:31  MAMApicks

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新年度になって1ヵ月ちょっとが過ぎた。新年度っていうのは何かと新しい気持ちになる。子どものことも、「あぁ、昨年度はここが足りなかったかなぁ、今年はもうちょっとこういうところ見ないとなぁ」なんてことを改めて思う時期だ。

そんな最中、やかんを買い換えた。

■やかんの実情
うちのやかんは、たいてい気づいた時には外側下半分が真っ黒になっている。そういえば、結婚祝いにもらった高級やかんも間もなく見事に真っ黒にしてしまった。友よ、本当にごめんなさい。

そもそもやかんの外側を鍋のように日常的に洗う習慣が無い。しかも、頻繁に使うから置きっ放し、出しっ放し。あれは、飛び散った油はね汚れやらがついたまま使うのがいけないらしいですね。たまに思い出したように洗ってみると、すでに手遅れ。

強力な洗剤もメラミンスポンジも、歯が立たない。今回も、もう、限界を超えてからすでに半年ほど経過し、新年度のムードに乗って、ついに買い替えに至った。

■買い替え効果抜群
さて、買い換えたら、これがすごく調子がいいのだ。こまめに「外側」も洗うようになった。なんだこれは、私が心を入れ替えたのか?

いやいやそう簡単に人の心は入れ替わらない。やかんの方が変わったんだ。

変わったことはこれ。

(1)小さいサイズにした。
(2)ちょっと愛着がわくデザインのものを選んだ。

これだけで、驚くほどメンテナンスしやすくなったのだ。

もともと私は、洗い物において「大物」はやたら面倒に感じるので、事情の許す限りどうにかして小さい鍋で済ませようとする傾向にある。大鍋や中華鍋、魚焼きグリルなどは、使う前から洗うときのことを思い描いてしまう。

だから、やかんて、大きいというだけの理由でなんだか洗う気がしていなかったのである。小さくなっただけで、洗う時の心の敷居が、うんと低くなった。

そして、愛着がわく形であることもプラスに働いた。不思議と、洗ってあげようかな、という気になる。「ちょっとの手間」を惜しまない気持ちにさせてくれる。

■新年度、目標を上げすぎていないか?
さて、子ども。小2になって1ヵ月。どうも半月目あたりから、言動が粗くなってきた。なんだか嫌な言い方をする。遮断するような、追求せずにさっさと切り上げるような……。

この顕著な変化。原因はたいてい多層構造だけれど、モデルはきっと身近にいる。あぁ、これ、もしかして、私?

どうも新年度というのは、親の私の方が、「今年度こそはこうしよう」と、新たな気持ちでがんばってしまう傾向にある。身につけて欲しいと思う気持ちが先走り、強い言葉で促したり、彼のペースを待たずに遮断して急がせたり。

それもひとつのスタイルとばかりに「キッ」とした態度をとり、「それは今やることじゃない」と有無を言わさぬ強引な誘導をしたなぁ、してるなぁ。……それが伝染したか。

要求レベルをぐいと一気に引き上げて焦っていたのは私だ。

■「やかん」は小さい方がいい
あぁ、新年度、こんな時こそ、彼の「やかん」を、小さくしてあげた方がよかった。ただでさえ、環境が少し変わり、たくさんの新しいことに対応している真っ只中だったんじゃないか。それだけでいっぱいいっぱいだったはずだ。

いずれついていかなければならない「大きなこと」はもちろんある。でも、日常的にこなさなければならない「やかん」的な課題は、洗う前から嫌になるほど大きい存在でない方がいいに決まっている。

生活習慣のひとつひとつの技能や、宿題、学校の学習や活動のフォロー、そういう日常的なもののレベル設定は、高すぎたらしんどくなる。ちょっとずつ、気付かないうちにレベルを上げて行く方がきっといい。

「どうやっても落ちないこげついた汚れ」のように、がんばっても「どうせ太刀打ちできない」と感じたら、取り組む気持ちもおきない。だって「どうせ洗っても無駄」なんだから。

そして、「愛着のわく形」のやかんであるように、子どもが「やりたいな」と楽しい気持ちで取り組める工夫がやっぱり必要だ。

一度頭をリセットして、自分の要求レベルが、今の息子の段階に適正か、アプローチの仕方の方に問題はないかよく見直さないとなぁ。もう一度、優先順位やら、目標レベルやら、実行手段やら、組み立て直してみよう。

■その上で、本人の気持ちも大事
そんなことを思っていた矢先、こともあろうことか、新品やかんの外側がうっすら茶色くなっているではないか! なんだこれは! ……あぁ、まさか「やかんの外側にコンロの火がはみ出てはいけない」っていうのを守らなかったから? その、ちょっと急いでいたからさっさと沸騰して欲しかったんだだよね……。そういう細やかな配慮はちょっと……。

この、雑なところが変わらないと、どんなにやかんが小さく、愛着がわく存在になったって、やっぱりだめだなぁ。

息子よ、私はあなたの日常目標を「小さく」「やる気がおきる存在」にすることはできる。その工夫はする。その先は、どうやら、やっぱりあなた次第らしいぞ。

でもね、この手の雑なことをあなたがやったら、間違いなく「ていねいにやらなきゃ結局やり直しだよ」とか「近道はない!手を抜かない!」とか言われちゃったりするんだよね。

その言葉、今日は私自身に丸ごと向けましょう。

あぁ、反省しますので、どうにかこのうっすら茶色くなった表面、きれいにならないかなぁ……。

狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。

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