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約20年前には、まだ飲み会などが頻繁に開かれていた時代でした。しかし長引く不況の中で、飲み会などの社内行事は徐々に姿を消していき、成果主義人事制度の流行などで殺伐とした雰囲気に変わってしまった会社が多くありました。また、ITの普及によって業務効率は格段に向上しましたが、「すぐ近くの席にいる上司にメールで報告する」というケースに代表されるように、直接的なコミュニケーションが希薄になっていきました。社会全体が「人間関係より効率や成果が大切だ!」という風潮にあったように思います。
ところが、ここ数年で状況に変化が出てきました。社内旅行や飲み会、ゴルフコンペ、運動会などの社内行事を復活させる会社が増えてきています。また、会社をコミュニティとして位置づけ、一体感や愛社精神の重要性を訴える書籍なども目立つようになってきました。
「昭和な会社」が増えてきている傾向にあるのは、会社として成果を創るためには円滑な人間関係が必要という実感を持つ経営者が増えている証拠ではないでしょうか。そして、その実感は真実だと思います。単純労働ならば効率だけを追い求めれば良いでしょうが、創造性や新規性が必要な仕事、あるいは複数の専門分野にまたがる知識が必要なテーマを手掛ける時には、ITを駆使して効率性を追求しても成果は創れません。
強い信頼関係で結ばれたチームを構築したり、あるいは広くアイデアを求めたりする必要性があり、それには人と人との関係性が重要な要素となってきます。そのために、飲み会などの社内行事や、メールなどではない直接的なコミュニケーションによって、社内の人間関係をより強固にすることは非常に有効なのです。
「昭和な会社」の取り組み例としては、「報告事項はメールではなく直接口頭で行う」「PCの使用を制限する」「飲み会などの社内行事を定期的に行う」などがあります。
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そのメリットとして、以下のようなことが考えられます。
●社内の人間関係が円滑になり、情報や知識・ノウハウの共有が生まれやすくなる。
●直接的なコミュニケーションが増え、創造性や新規性に富むアイデアが創発され やすい環境ができる。
●就業時間中の私用メールやネットサーフィン、SNS依存などによる業務効率の低下を防ぐことができる。
ITは便利な道具ですが、それに依存しすぎるのも良くありません。会社は人の集合体ですから、「いかに人を活かせるか」を真剣に考えた会社が最終的には生き残っていくのだと思います。
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