限定公開( 186 )
「壁ドン」を知っていますか？「隣の住人がうるさいときにやるアレだろう？」。そんなふうに思う人も少なくないかもしれません。「壁ドン」の火付け役は少女マンガ「Ｌ・ＤＫ」。女性誌が特集して反響を呼び、剛力彩芽と山崎賢人の共演で映画化されるほどの人気です。
「壁ドン」とは、女の子が壁を背にして立ち、クールでドＳキャラの男子に迫られる恋愛のシチュエーションのこと。そして、この行為は「頭ぽんぽん」「手を引っ張る」「後ろからギュッ」という、恋愛における「萌え行為」と並ぶほどに、若者たちの間で流行になりつつあるのです。この行為は、果たして心理学的に有効なのでしょうか？
人には「パーソナル・スペース」と呼ばれる縄張りがある
人には「パーソナル・スペース」と呼ばれる、相手との関係性と比例する「距離感」というものが存在します。無意識に、自分の周辺の空間を「自分の縄張り」のように感じているのです。普段の生活の中で以下のようなシチュエーションはよくあると思います。
■電車の中で、端の席から人が座る
■満員電車で、吊り広告などに視線をおく
■満員のエレベーターで、階数表示を見る
これらは、入ってきてほしくないスペースに、赤の他人が入ってくるのが避ける行動です。満員の際に視線を上に向けやすいのは、視線だけでも距離感を遠く持ちたい心理からです。
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（1） 親密ゾーン（半径50�僉法栂�人や家族などの、ごく親しい人
（2） 対人的ゾーン（半径50�僉�1ｍ）…親しく話ができる間柄
（3） 社会ゾーン（1ｍ〜3ｍ）…名前は知っているフォーマルな人間関係
（4） 公的ゾーン（3ｍ以上）…個人的関係が成立しない相手
このように50�儖米發竜�離に入れるのはごく一部の人間だけです。
「壁ドン」成功には「ある程度、相手も意識している」が必要
人には「縄張り」が存在することがわかったうえで、逆にそのスペースに入り込むことで、親しくなったりもするわけです。例えば、会社の喫煙室。狭い個室の中で話したりするため、灰皿を囲んで必然的に距離が近くなります。恋愛の場合では、バーが有効でしょう。薄暗いため心を開きやすくなり、隣に座ることで、あっさりと「親密ゾーン」に入れます。
急激に相手の「親密ゾーン」に入る「壁ドン」の効果を考えてみると、「ある程度、相手が意識している」「親しい関係である」ということが最低限必要でしょう。これで「ドキドキ」させられたなら「吊り橋効果」となって、そのドキドキを恋愛のドキドキと間違えてさせることができるかもしれません。
（青柳 雅也・心理カウンセラー）
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