多発する山岳遭難。救助費用への備え

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2014年05月23日 15:00  JIJICO

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遭難抑止効果等も期待して、遭難費用の一部負担を求める動きも


今年のゴールデンウイークは、記録が残る2005年以降、山岳遭難者数が過去最多となりました。登山ブームを背景に、近年特に中高年の遭難者が増加しています。警察庁が発表した「平成24年中における山岳遭難の概要」によると、遭難者は約半数が60歳以上で、中でも60代の割合が多く27.6%を占めています。登山目的の人以外にも、山菜採り等で遭難してしまう人も多くいます。また、事故原因としては、道に迷う人が最も多く約42%、滑落・転倒を含めると70%を超えます。準備を十分に行えば、遭難自体を防げるケースも少なくありません。


遭難した場合に警察等に連絡をすると、警察や自治体の職員、防災ヘリコプター等の公的機関が捜索・救助活動を行います。しかし、一刻も早く捜索・救助するために、地元山岳会の会員や、民間のヘリコプター会社に協力を仰ぐことがあります。民間ヘリの出動費用は、乗務員等の日当も含め1回50万円以上。また、山岳会員等1人当たり3万〜5万円程度の日当が必要で、通常10人前後のグループを組んで捜索します。危険度に応じた危険手当も設定されているので、二次災害の危険がある地区ではより費用が高くなります。


この他、捜索に使用する消耗品代や宿泊費、食費、遺体で見つかった場合の遺体搬送費用も必要で、状況によっては百万円〜数百万円程度の費用が発生する可能性もあるのです。なお、公的機関が捜索を行った場合、費用は原則公費で賄われ、遭難者やその家族が負担することはありませんでしたが、自治体によっては遭難費用が大きな負担となっていました。そのため、近年は遭難抑止効果等も期待して一部負担を求める動きもあり、今後も自己負担を求める自治体は増えていくと考えられます。


山岳遭難に対する国内旅行傷害保険では、山岳登攀は対象外


遭難しないための事前準備はとても大切ですが、その一つとして遭難に備えた保険への加入も考えましょう。山岳遭難に対する保険は、国内旅行傷害保険などの傷害保険が基本となりますが、ピッケルやアイゼン等の登山用具を使用する山岳登攀(とうはん)は補償の対象外となります。


山岳登攀に関しては、一般的に「運動割増」や「運動危険補償」等の別途割増の保険料を支払うことで補償の対象となり、死亡・後遺障害・入院・通院に対して適用されます。これらの補償に加入すると「遭難捜索費用補償」という特約に加入することができます。日本国内において山岳登攀の行程中に遭難捜索対象者(被保険者本人)が遭難したことにより、捜索費用を負担された場合に、その費用を補償するという内容です。


上記の登攀に該当しない、ハイキングや、山菜採りなどの軽登山は、通常の国内旅行保険や傷害保険の「救援者費用等補償」にて対応できます。契約者、被保険者または被保険者の親族が、負担した費用を支払う内容となっています(捜索救助費用・現地への1往復分の交通費・宿泊費用・現地からの移送費用 等)。


その他、山岳遭難のみに特化した保険も複数ありますので、登山を計画する時には、もしもの時の保険加入を検討してください。山岳遭難の大部分は、軽装・スニーカー等で軽い気分で登山する等の準備不足や過信が原因です。特に春先・秋口、標高の高い山の気候は平地と全く異なり、深い雪が残っていたり急に雪が降り出したりと、冬山装備が必要なこともあります。十分に下調べ・準備をし、「遭難者」にならないように注意しましょう。



(佐々木 茂樹・ファイナンシャルプランナー)

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