Suicaに迫る!WAON大成功のワケ

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2014年05月25日 15:00  JIJICO

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イオンが採用するシニアシフト戦略


イオンの電子マネーカード「WAON(ワオン)」の累計発行枚数が、毎月50万枚前後増え続け、4月末までに4000万枚を超えました。結果、JR東日本「Suica(スイカ)」の約4702万枚(4月末)が視野に入ってきたと注目されています。


イオンはご当地WAONや提携店のWAON、東北復興支援WAONなど、多様な種類や機能を持つものを用意しており、さまざまな角度から利用者を増やす取り組みを行っています。しかし、実はシニアシフト戦略を活用したことが、発行枚数増加に大きく貢献しています。


シニアシフト戦略とは、シニア層のマーケット規模が年々拡大していることを踏まえ、「今後の国内消費を牽引するのはシニア層である」として、シニア層への商品・サービスを強化していくという時代にマッチしたイオンのグループ戦略です。実際、現在のシニア層に該当する人は若々しく元気がある人ばかりで、趣味や消費活動にも積極的という特徴があります。シニア層のマーケット規模は年々拡大しており、個人消費全体の44%が占めているとも言われています。


シニア層の取り込みが発行枚数を後押し


そのシニア層の動向に注目したのが、イオンのシフトシニア戦略です。単純にシニア層向けの商品を増やすというものではなく、現在のシニア層に合った、「G・G(グランド・ジェネレーション) 」という新たな枠組みをつくり、商品・売場・SC(ショッピングセンター)・サービスという4つ切り口でシニアシフトに取り組んでいったのです。


G・Gとは、映画「おくりびと」の脚本家である小山薫堂氏が提唱する、シニアに変わる世代の考え方です。「グランド」とは最上級を意味し、人生の中でも最上の世代と捉え、若々しく年齢を重ね、豊かな知識と経験を持ちながら、人生をさまざまなスタイルで楽しむ時代の年長者に敬意を評した呼称です。


G・Gという新たな枠組みをつくることが、それに共感する顧客を呼び込むだけでなく、新たなニーズを創出してシニアシフトを加速させる重要な潤滑油となっています。つまり、シニアシフトとは、シニア層の顧客増加を受け、シニア層に喜ばれる「場」をつくり、さらに多くのシニア層を呼び込もうというものです。


また、増加したシニア層の顧客にWAONを利用してもらう取り組みも、積極的に行っています。対象年齢を55歳以上に限定した「G・GWAON」を投入し、利用者だけのお得な特典を用意するなどして、電子マネーを敬遠しがちなシニア層を上手く取り入れたのです。結果、WAON利用者の48.9%を50代以上が占めていることから、発行枚数急増に大きく貢献していることが分かります。(一般的に電子マネーカードの利用者は30代の層が最も多い)。


WAON発行枚数増加の背景には、シニアシフト戦略やG・Gという新しい枠組みをつくるなど、斬新な発想が支えていると実感できます。しかし、今いる顧客に目を向け、抱えているニーズや欲求と向き合うなど、基本的なプロセスから導き出された結果です。「お客さまのことを考える」という基本的なことが、いかに重要なことなのかを証明する好例ではないでしょうか。



(伊藤 伸朗・集客・顧客情報活用コンサルタント)

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