会社から「個人請負で働いてほしい」と言われたら・・・どんな点に注意すればいい?

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2014年05月31日 14:50  弁護士ドットコム

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正社員、契約社員に派遣社員、アルバイト、パートタイマー・・・。世の中にはいろいろな働き方がある。最近ではこれに加えて、「個人請負」というスタイルも耳にするようになった。


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採用面接に行ったら、「正社員として雇うのは難しいが、個人請負でなら働いてほしい」と言われた、なんていう話も聞く。この「個人請負」とは、いったいどんな意味なのだろうか。ほかの働き方と、どう違うのだろうか。労働問題にくわしい田村ゆかり弁護士に聞いた。



●「請負」は「雇用」とは全く違うもの


「まず、『個人請負』というのは法律用語ではありません。法律上は、『請負』という契約類型に含まれます。フリーのデザイナーなどの個人事業主が、会社などと請負契約を結ぶことを、一般に『個人請負』と呼んでいるわけです」



このように田村弁護士は切り出した。そして、働く際に使われる代表的な契約として、「雇用」「委任」「請負」の3つをあげた。



「1番目の『雇用』は、他人の『労務それ自体』を利用することを目的とする契約です。いわゆる正社員・契約社員など、出勤時間と退勤時間が決まっていて、会社の業務に専念する、というイメージです」



これは、いわゆる「会社員」のイメージだ。



「次に『委任』は、労務提供者が相当に自由な判断をしながら、他人の法律関係などの事務の処理をおこなうという契約です。たとえば私たち弁護士は、依頼者から『委任』を受け、専門知識にもとづいた判断をしています」



こちらは仕事をする側の自由度が高く、「専門家に判断を任せる」というイメージのようだ。



「最後に『請負』は、仕事の完成、すなわち労務によって一定の『結果』を給付することを目的とする契約です。たとえば注文主から仕事を請け負う大工さんは、家を一軒完成させる、というのが仕事ですよね」



この請負は、雇われるのではなく「お金をもらって結果を提供する契約」ということだ。専門技能を活かすタイプの仕事に多そうだ。そして、「個人請負」というのは、この「請負」の一種にあたるのだという。



「個人請負で働くということは、会社に雇われるのではなく、『請負契約』を結ぶという意味です」



●「請負契約」の注意点とは?


つまり、完全に別の働き方なのだ。正社員と比べると、メリットとデメリットはどうなっているのだろうか?



「請負契約は、会社の指揮命令を受けず、他の仕事も同時に請け負うことができるなど、自由な働き方ができるというメリットがあります。



しかし雇われて働く正社員と比べると、労働法によるさまざまな保護を受けられないなど、いくつもの違いがあります。主なデメリットはつぎのようなものでしょう。



(1)働き続けられる保障がない(契約を更新してもらえるとは限らない)


(2)雇用保険の対象とならない(雇用されていない)


(3)報酬が安くなる(残業代等がない)


(4)国民健康保険・国民年金に自ら加入して保険料等の支払いをすることになる」



ちなみに、請負契約のはずなのに、会社に拘束され、その指揮命令に従って働かされるようなケースは、「偽装請負」と呼ばれ、違法なのだという。そういうケースの場合は、働いている人が「労働者」とみなされ、労働法の各種保護の対象となることもある。田村弁護士は「どのような形で働くかは、慎重に判断することをお勧めします」と話していた。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
平成26年度沖縄弁護士会理事。同年度沖縄県包括外部監査補助者。経営革新等支援機関
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/



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  • 自分で所得申告しないとダメっていうのが一番手間やし面倒な部分やと思いまする(´・ω・`)市税事務所の手続き結構めんどくせwww
    • イイネ!1
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