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街を歩いていたところ、制服姿の警察官に「ちょっといい?」と止められた――。そんな経験はないだろうか。犯罪を未然に防いだり、事件を捜査するために、警察官がおこなう職務質問、通称「職質」だ。
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この職質について、プロ野球DeNAの藤井秀吾投手が「人生初の職務質問を受けた」とブログで報告し、注目を集めた。4月末に投稿された記事で、藤井投手は、東京・渋谷の街頭で警察官に職質されたときの様子をくわしく紹介したうえで、「あれって急いでたら断っていいのかね?」と疑問をなげかけた。
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では、警察官から職務質問を受けたとき、「いまは急いでいるので・・・」と断ることはできるのだろうか。もし拒否した場合、何らかの罪に問われる可能性はあるのだろうか。元検事の諸橋哲郎弁護士に聞いた。
「結論からいうと、藤井投手は、職務質問を受けることを断ってもかまいません。仮に拒否しても、罪に問われることはありません」
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諸橋弁護士はこう明言した。安心できる回答といえるが、職質を断っても罪に問われないのは、なぜだろう。
「職務質問は警察官職務執行法に規定がありますが、それを読むと、職質を拒否しても罪にならないといえるのです。
この法律は、警察官がどのような場合に職務質問をできるのかという条件を規定しています。しかし、職務質問を受けた人に回答義務があるとは規定していません」
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だが、実際には、「市民の側には、職質に回答する義務がある」と思っている人が、多いのではないだろうか。
「たしかに、こういう法律があると、当然、職質への回答義務があるように思いがちでしょうね。しかし、そうではありません。この法律では、警察官が職務質問できる要件だけが、定められているのです。
そのように定められた理由は、警察官から職務質問を受けること自体が、一般市民にとっては大変なことだからです。警察官が必要もないのに『あいつ、生意気そうだから職質でもやってやるか』では、たまりませんよね」
職質を拒否しても問題ないといっても、警察官を前にした場合、どう対応すればいいのか。
「警察官は、相手方の承諾がなければ、職務質問を続けることができません。ですから、用事のあるなしにかかわらず、職務質問を拒否してもかまわないのです。ただ、拒否するときは、あいまいな態度ではなく、はっきりとした態度で断りましょう」
このように諸橋弁護士は述べたうえで、次のようにアドバイスしていた。
「とはいえ、職務質問に協力することも大事なことです。冗談が過ぎるような行動をとると、自分にとって不利益なことになる場合もありますので、気をつけましょう」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
諸橋 哲郎(もろはし・てつお)弁護士
日本大学法学部卒業。東京地検、山形地検に勤務し、1989年弁護士登録。1998年山形市情報公開・個人情報保護審査会会長、2007年山形市体育協会理事、2010年日弁連弁護士業務改革委員
事務所名:諸橋法律事務所
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