食品ロスを生活困窮者に生かすフードバンク活動

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2014年06月06日 10:10  JIJICO

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お米の年間収穫量に相当する食べ物が食品ロスに


「食品ロス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。まだ食べることができるにも関わらず、さまざまな理由で捨てられる運命にある食品を指します。日本には、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」が、500万〜800万トンあります。これは、日本人の主食であるお米の年間収穫量にも相当する量です。


大量の食べ物を捨てている一方で、食べ物に困っている人が日本国内にいます。厚生労働省が発表している、相対的貧困率16.0%を基に計算すると、「貧困線」以下で暮らしている人が2000万人、これは6人に1人の割合です(厚生労働省 平成22年 国民生活基礎調査の概況)。


「貧困線」とは、日本人の平均年収の半分に相当する値を指します。具体的には、平成21年の貧困線は112万円ですので、これを1カ月あたりにすると、およそ9万3000円となります。この中から家賃や光熱費も捻出しなければならないとすると、家賃の高い地域では、かなり苦しいのではないでしょうか。


「おすそわけ」文化の大型版とも言える「フードバンク活動」


「食べ物に困っている人」というと、途上国で涙を浮かべて泣いている子どものイメージが浮かぶかもしれません。でも、日本の中にも、食べ物に困っている人はいるのです。


このように「あまっている食べ物」と「食べ物に困っている人」という、2つの社会的課題が国内で存在しています。ここで、日本の「おもてなし」文化と同時に「おすそわけ」文化を思い起こしてみましょう。もし、お中元やお歳暮でたくさんの食べ物をいただいたら「お隣やご近所に分ける」といった体験を持つ人もいると思います。また、職場のある部門にお菓子などのいただき物が届いたら「その職場みんなに分け与える」といった経験があるでしょう。


日本には、「あまっている食べ物」と「食べ物に困っている人」をつなぐ「フードバンク活動」が存在します。これは、多少、語弊はあるかもしれませんが「おすそわけ」の大型版と言ってもいいかもしれません。「ご近所や職場などで食べ物を分ける」といった行動は、義務ではなく、誰かに頼まれたわけでもありません。「たくさん食べ物があり、自分もしくは自分のまわりだけで食べきれない場合は、ほかの人に分けてあげる」といったことは、ごく自然に行われてきたのではないかと思います。


団体によっては、宅配便での送付を受け付けている場合も


「おすそわけ」の根底には「信頼関係」があります。信頼できない人、知らない人が突然やってきて「食べ物あげます」と言っても、受け取らないでしょう。


「フードバンク活動」は、信頼関係があってこそ成り立つ活動です。もともと1967年(昭和42年)に米国で始まったもので、今では世界の数十カ国で活動が続けられています。わが国では、日本初のフードバンク団体である「セカンドハーベスト・ジャパン」をはじめ、北海道から沖縄まで約40の団体があります。


あまっている食べ物を「どうにかして生かしたい、でもどうしたらいいの?」というときは、フードバンク団体によっては、宅配便での送付を受け付けている場合もあります。また、「フードドライブ」という取り組みもあります。これは、家庭であまっている食べ物を、学校や職場、イベント会場などに持ち寄り「生かす」というものです。米国では、1990年代から毎年5月に、「自宅の郵便受けにあまっている食べ物を置いておくと(袋などに入れて下げておくなど)郵便配達の人が回収し、それをフードバンク活動に活用する」といった取り組みが続けられています。いわば国ぐるみのフードドライブです。


こうしている間にも、食べ物が捨てられていきます。まず、今からできることをやってみませんか?



(井出 留美・広報)

このニュースに関するつぶやき

  • 食べもしないものをごそっり買って冷蔵庫で腐らせる義母。キッチンの床には箱に入ったままの多種多様な簡易調味料の袋や箱がごっそり。乳製品、入りきらないからって室温保存はどうなのよ。食品ロス以前の問題だな
    • イイネ!2
    • コメント 2件

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