「体に効く」食品表示OKに 消費者の注意点

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2014年06月14日 10:10  JIJICO

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「◯◯に効く」というような健康維持表示が可能に


食品が「どのように体に良いか」を示す表示が今年度中に解禁される予定で、消費者庁により新制度の内容が固まってきました。これにより、数多くの食品がアメリカのように健康維持表示、いわゆる「◯◯に効く」というような表現で販売することが可能になります。


一番の注目点は、企業側の判断でこの健康維持表示ができるようになったこと。現在は特定保健用食品(トクホ)などに限られていますが、幅広く表示できるようにするわけです。健康志向が強まっている昨今、消費者も注意が必要です。


過剰摂取による健康被害が懸念される


健康維持表示が解禁になると、心配されているのが過剰摂取による健康被害です。これは特定の栄養素を過剰に摂取して「体調を崩してしまう」という非常に身近な問題です。「朝バナナを食べると痩せる」「納豆をたくさん食べると痩せる」といったことがテレビで取り上げられて流行し、それら食品を過剰摂取して体調を崩した人も多かったのではないでしょうか。


また、身近な飲食物である「水」も、「たくさん飲むと血液がサラサラになる、代謝が良くなって痩せる」など、専門家なら首をかしげてしまうような内容が一人歩きをして、日本中を「水飲めブーム」にしたことも記憶に新しいと思います。「『特定の食品を摂るだけ』『水を飲むだけ』で健康になるということは無い」というぐらいの認識を持ちましょう。


魅惑的な食品表示に期待しすぎないように


「単品ダイエット」で特定の食品だけを食べ続ければ、確かに痩せるかもしれませんが、結果的に体を壊すことにつながる恐れがあります。「お腹に良い」というヨーグルトを毎食食べ続けてコレステロールが高くなったという笑えない話。このような話を、健康相談を受ける際によく耳にします。


「脂肪を消費させる」「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収を穏やかにする」など、体型や健康が気になる人には魅惑的な表示があふれています。しかし、このような表示がある食品をたくさん摂取したからといって、食べ過ぎや飲み過ぎの人が痩せるわけではありません。一部のメーカーが行き過ぎたCMで指導をされたぐらいです。「効果が無い」とは、もちろん言いません。きちんとしたデータの裏付けがあるので、このような表示ができるわけですが、過剰な効果は期待しない方が良いでしょう。


現在のトクホなども「普通のお茶飲むよりはこちらの方が」程度の認識にしましょう。食品ですので、それ自体で「病気を治す」などの働きはありません。あくまでも「◯◯の数値が気になるので、普通のものよりは体に良いだろう」といった使い方に留めておきましょう。


成分をしっかりと確認しないと、思わぬ落とし穴も


また、特定の栄養素が含有されていることで「◯◯に良い」という表示をOKにしてしまうと、実は摂り過ぎると体に良くない成分がたくさん入っている食品まで「体に良い」食品にカテゴライズされかねません。


しっかりと成分を確認しないと、思わぬ落とし穴があるかもしれないのです。消費者が「自分の健康のために」と購入する食品ですから、消費者の誤解を招くような表示がないように、消費者庁の指導監督、ならびに製造側企業の倫理観に期待したいものです。


 



(早川 弘太・医薬品登録販売者)

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