広がるLGBT市場の開拓へ 課題と対策

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2014年06月23日 17:10  JIJICO

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試算によるとLGBT市場規模は約5.7兆円


「LGBT」という言葉を知っていますか? LGBTとは、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダーといった性的少数者を指す総称です。


近年、交流サイト(SNS)の普及も手伝い、世界的に広く認知されるようになりました。日本でもLGBTは人口の5%以上と言われています。5%とは20人に1人の割合ですので、学校や企業などの身近なところに一定数LGBTがいるということです。


また、人口の5%(約640万人)ということは、そこに様々なニーズが存在するということでもあります。電通総研の試算によると市場規模は約5.7兆円とされており、日本でもLGBTの需要に対応する企業が出てきていますが、多くの企業ではどのように対応していけば良いのかが課題となっているため、各社足踏みしているような状態です。


LGBT向けサービスの展開に「LGBTへの理解」は絶対条件


LGBT向けサービスを展開する際には、「LGBTへの理解」は絶対条件となります。もし、サービスを提供する企業のスタッフが差別的な考え方を持っていたとしたら、そのサービスは浸透しませんし、逆に批判の対象となってしまいます。そのため、既に対応を進めている企業では、社内研修や社内制度を充実させるなど、まず、「自社が対応する」ということを行っています。


そして、サービスを検討する際には「LGBT向けサービス」にすることで、その訴求効果を高めることができます。例えば、ホテルグランヴィア京都は臨済宗の春光院と組み、観光も兼ねた「同性婚プラン」を海外向けに売り出しています。これが同性愛に寛容な欧米で反響を呼び、海外から注目を集めています。


ワコール「胸を小さく見せるブラジャー」に学ぶ戦略も有効


また、あえてLGBT向けサービスにせずに、「既存のサービスに含ませる」という方法もあります。例えば、大手下着メーカーのワコールが打ち出した「胸を小さく見せるブラジャー」という商品があります。身体が女性で心は男性というトランスジェンダーの「女性を象徴する胸のふくらみを無くしたい」というニーズを満たしたことで、LGBT向け商品でないにも関わらず、大きな支持を得ました。


つまり、LGBT向けのサービスにしなくても、既存商品のターゲット範囲を広げることで、結果的にLGBTの支持を集めることもできるということがわかります(ちなみにワコールの場合は、企業としてそういった意図はなかったが、結果としてそうなったとのこと)。


LGBTの認知が世界的に加速。独占市場を獲得できるチャンス


アメリカのオバマ大統領が同性結婚への支持を表明するなど、LGBTの認知が世界的に加速しています。そういったことから、今後さまざまな業界でLGBTを意識した商品やサービスが増えていくことは確実です。ビジネス的な視点で考えると、まだ開拓されていないLGBT市場に今すぐ参入できれば、独占市場を獲得できるチャンスでもあるということです。


さらに、「LGBTを支持する企業=女性や障害者、そのほかの少数派にも優しい企業」というポジティブなイメージがあるため、商品だけでなく企業のイメージアップに繋がるという効果もあります。


あくまで主観ですが、将来的に求められているのは「LGBT向け」という特別扱いではなく、ごく普通に生活ができる環境なのではないかと思います。その環境を構築するためにも、今は、LGBTをサポートするサービスは必要ですし、そのサービスを提供するためには、やはり、「LGBTを理解する」ということが、とても重要であると言えます。そういったことを踏まえても、今後のLGBTの動向には注目が集まりそうです。



(伊藤 伸朗・集客・顧客情報活用コンサルタント)

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