「奨学金」を借りるときに注意すべきポイントは? 税理士に聞いてみた

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2014年07月21日 12:41  弁護士ドットコム

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奨学金の「返済苦」問題を各メディアが報じるようになって久しい。卒業後に就職できなかったり、思うように収入が得られなかったりして、月々の返済に苦しんでいる若者が多いのだ。日本学生支援機構(旧育英会)によると、同機構への返還を3カ月以上延滞している人は約19万4000人で、返還している人全体の7.8%に及ぶという。


【関連記事:「金融事業化」する日本の奨学金制度 「返済できない若者」が急増】



奨学金は実質的に「借金」であり、借りる学生にその自覚が足りない、という指摘もある。とはいえ、最初から返すつもりがないという人はいないだろう。自分の卒業後の見通しが立たない状態で、お金を借りなければいけないところに、奨学金の難しさがある。



将来「返済苦」に陥らないために、奨学金を借りるときに注意すべきポイントは何だろうか。益田あゆみ税理士に聞いた。



●奨学金の「条件」をチェックしよう


「奨学金の中には、返還しなくてもいいものもありますが、原則は『お金を借りる』制度です。借りたお金であるので、卒業後に返済することも視野に入れ、大切な学生生活を送りましょう」



奨学金は、貸与・支給する団体によって、さまざまなものがあるが・・・。



「はい。奨学金には種類があって、申請すれば、誰でも取得できるというものではありません。採用枠の中で条件を満たすことが必要です。このため、奨学金を見込んで大学進学を考えている人は事前に、自分の置かれている状況が、その奨学金の条件に合っているかどうかも考えておきましょう」



奨学金は、入学金の支払いにも使えるのだろうか。



「いいえ。実際に奨学金を受け取ることができるのは、入学後になります。進学前にかかる受験料や入学金、前期授業料、また、上京の際の引っ越し費用などには、奨学金を充てられないので、注意が必要です」



●親の返済肩代わりには「贈与税」がかかる可能性も・・・


では、奨学金と税金の関係はどうなっているのだろう。「お金が入る」ということは、所得にあたり、税金がかかってくる可能性もあるのだろうか?



「子どもが奨学金の支給を受けた場合は、単なる『借入金』扱いとなります。これは、子どもの『所得』にはなりませんので、親の扶養から外れることはありません。また、返済不要の奨学金を受けた場合でも、所得税では非課税となります」



一方で、子どもが奨学金を返済できなくなり、親が肩代わりをする場合、税金の扱いはどうなるだろう。



「たとえば、親である扶養義務者が学費を払う場合は、贈与税では非課税となります。けれど、奨学金を返済するために資金を贈与する場合は、贈与税が発生する場合があります。奨学金は大学生活の4年間、借り続けると、かなり大きな金額になります。返済計画をかなり長期的な視野で考えなければならないため、よく計画を立てたうえで申請ください」



いったん借りたら、完済までは長丁場だ。奨学金を利用するかしないかは、返済計画などもじっくり考えたうえで決めたいものだ。



【取材協力税理士】


益田 あゆみ(ますだ・あゆみ)税理士


東京都生まれ。高卒。通称“セラピスト税理士”。メンタルサポートを業界に取り入れ、経営相談には女性特有の悩みも織り込み、特に女性起業家から安心感と共感の声を得ている。米国会計事務所に勤務経験があり、アメリカ税務の相談にも応じている。


事務所名:益田税理士事務所


事務所URL:http://ayumi-office.com/


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