世の中の母は頑張りすぎていないか? ――口内炎30個発生の原因を探る

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2014年07月23日 10:01  MAMApicks

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■口内炎の耐えられない痛さ
梅雨の時期、口内炎が30個以上できた。
昔から口内炎持ちだったので、2〜3個できるのはしょっちゅうだったが、さすがにこの数、途中で数えるのをやめてしまった。食べることもしゃべることもできない。仕事もできない。痛くて痛くて何にも集中できないのである。

2ヵ月ほど前にも10個ほど出現、その時は市販のビタミン剤でなんとかしのいだ。しかし、今回のはもう、耐えられない!!! そして、生まれて初めて口内炎で医者に行った。消化器系が関連しているのでは?とのネット情報で、まずは最寄りの内科へ。


「こりゃ、ひどい」と、皮膚科を紹介され、その日のうちにわが子がいつもお世話になっている皮膚科へ。そこの女性医師も、「ひどいですね……」と絶句。症状から推察できる病名を挙げて、「原因を徹底追及しましょう!」と、共闘の姿勢をみせてくれた。

原因を追究すべく、とりあえずできる検査をして、2日に1回の診察、という会社員であればとうていできない通院生活をしばらく続けてはみたが、「原因はコレ」あるいは「病名はコレ」といった「決定打」がない、という皮膚科医の見解。

そうこうしているうちに、処方されたビタミン剤や消化器官用薬、鎮痛剤などの服用で、症状そのものは改善、喉元過ぎれば熱さ忘れつつある私であった。

■「お母さんは健康でいなくっちゃ」の医師の言葉にホロリ
しかし、その医師は「2ヵ月前もできていたということだし、念のため大きい病院で検査したほうがいい。総合病院に紹介状を書きましょう」と提案してくれた。

あまり大ごとにはしたくない私は、「はあ……」と気のない返事。「症状的に検査したほうがいいんでしょうかね?」と聞くと、「あなたがお母さんだから、検査を勧めるんです」とのお言葉。

「は?」「お母さんはいつも健康でいなくちゃ。ちょっと体調おかしいな、程度では病院なんか行かないでしょ? お母さんは自分のことは後回しになるんです。今回みたいに我慢できなくてようやく病院に、という人が多いのよ。こんなに口内炎ができたというのは、それまでの疲れやストレスがたまっていたからかも。重症になってからではつらいから、この機会に徹底して診てもらうほうがいい」

自らも二児の母であるその医師ならではの言葉に、私は思わず涙が出そうになった。「頑張っているね」と承認されたと感じたからだろうか……。

そうだ、世の中の母は頑張りすぎている。
子どもの身体を気にはかけても、自分が少々具合悪くても、「まあ、なんとかなる」と根拠なく思っている。実際、表面化しないものだから、「ほら、大丈夫」と、また同じことを繰り返す……。

でも、身体に症状が出たら、「ちょっと休め」あるいは「生活、見直してみようよ」との内なる声なのかもしれない。

■ストレスは思い当たらなかったが……
しかし、実は私は、ここ数ヵ月、疲労やストレスは思い当たらなかった。仕事に対するストレスはほぼないし、忙しさも昨年の今頃にくらべればたいしたことない。症状が出るなら、とっくに出ていいはずだ。

最近は3歳の次女とともに21時〜22時の間には寝て、朝4時には起きるという規則正しい生活で、食事も食材は生協中心、加工食品は極力使わず、ヒジキや豆など、どちらかというと「体にいい」といわれるものが中心だ。学生の頃とは異なり、不摂生な生活はこれっぽっちもしていない。そう自慢できるくらいである。

うーん……と、ここ最近の自分の生活を振り返ってみて、思い当たることがひとつあった。夫との関係である。

■大人げなく子どもを怒る自分に自己嫌悪
およそ半々の割合で、外と自宅で仕事をしている私は、次女は保育園に預けている。彼女をピックアップして自宅に戻るのが、だいたい18時半過ぎ。小4の長女からの「夜8時半には寝たい」との要望に応えるべく、猛ダッシュで、料理、食事、入浴……そして食事の片づけ、洗濯物取り込み、たたみ……などなどを、約2時間で済ませなくてはならない。まあ、後半の3つは夫に託すとしても。

「お腹すいたー」とわめく次女に、煮干しやバナナを与えながら、朝に仕込んであったモノに手を加えて夕食のしたく。食べ始めるのが19時過ぎ。食事がスムーズにいくこともあるが、たいていは、「お姉ちゃんが足触った!」「そっちが先にやったんでしょ!」と、姉妹げんかが始まる。双方をなだめる余裕がない時は、「もう、今度から自分たちで食事作って!」と、大人げない対応をする。そうなると長女はふてくされ、次女が泣き出す。

……はあ、またやってしまった。自己嫌悪に陥る。自称「子ども好き」だったはずの私が、なんでわが子にこんな仕打ちをしてしまうのだろう? 完全に私はイライラしている、という自覚があった。そして、そんな時にいつも思う。この時間帯に夫がいてくれれば、と。

夜8時半までに長女を寝かせてあげたい。でも物事は時間通りに進まない。子どもの「余計な話」には、「うん、そうだね」と適当に相づちを打ち、いかにこの時間までにアレをできるか考えつつ、極力「余計なこと」が発生しないよう、先回りし……子どもへの相手が完全に「作業」になっている。

本来、母である私がうまく段取れればいいのに。会話を楽しみ、笑いながら生活したいのに。いつも時間に追われ、いつもしかめっ面をして、いつもイライラしている……。そんな母親のもとで、素直にのびのびすくすくと育ってほしい、と願うことが、そもそも無理な妄想なのである。

■家族そろって夕食を食べたい
このイライラが口内炎の原因なのか? いや、素直にそこに結び付けたくない私がいる。子どもたちに対するイライラをたどってみると、夫に対してのイライラが奥底に横たわっているのである。

夫の帰宅はほぼ毎日、22時以降(寝ているから正確には不明)。週1回、ノー残業デーと称する日が一応はあるが、その日も遅い。月に1回、20時くらいに帰宅できればいいほうだ。

もちろん、私が夜遅い時や出張の時は、夫に次女のお迎えを頼むこともあるし、朝食は一緒に食べている。だが、「子どもをもったら家族そろって食事をする」ことを基本姿勢としていた私としては、1日の最大イベントともいえる夕食を共にできないことは、非常に不本意なのである。

夫婦二人だけならまだしも、子ども、とくに小学生くらいまでの子がいる家庭では、夕食を「家族みんなで」することに大きな意義がある、と私は思っている。

大人が複数になるので、子どもの話をきちんと聞くことができる。学校や幼稚園、保育所などであったその日のことに耳を傾け、子どもの状況を共有できる。何より、大人同志でもそうであるように、食べながらの会話は楽しい。

もちろん、母だけでも、余裕があるときは子どもの話をじっくり聞くこともできる。しかし、そこにもう一人の親である父親がいるのといないのとでは、情報共有の観点だけでなく、家族の愛というか情というか、うまく表現できないが、何か、「あ、家族っていいな」と思える瞬間、豊かな瞬間が、よりあるように思うのである。

私は、現代のさまざまな歪みや問題として指摘されていることは、この「家族そろって食卓を囲む」ことがなくなってきていることが原因ではなかろうか、と本気で思っているほどだ。

ちなみに私が敬愛する西原理恵子先生のマンガにも、「家族そろっての食事」を重要視しているシーンが描かれていたと記憶している。なお調べてみたら、夕食を「父親とほぼ毎日食べる」子どもは34.6%だそうだ。
【参考データ】食育白書:子どもと家族との食事の状況|内閣府
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/whitepaper/2012/book/html/sh01_02_01.html

■この「一言」がほしいだけ?
そして、私は夫に決闘状を叩きつけるがごとく、そのことについて、夫婦間の「連絡帳」に殴り書いた。ついでにいろいろ書いてしまったのだが、要は「会話の時間が欲しい。もう少し早く帰れないか。一緒に夕食を食べられないか?」と。毎日、残業しないのは無理だとしても、残業は週に2〜3日、できれば「週1残業デー」くらいに努力はできませんか、と。

実はこれまでも、ワーク・ライフ・バランスの記事やら、残業時間短縮を実現した企業事例の記事やらをチラつかせ、「やろうと思えばできるんだよ!」と発言していた私。しかし、彼の勤める中小企業は、そんな人的余裕も何もない。巷では「残業代ゼロ」が話題だが、とっくの昔というか最初から夫の会社はいくら残業しても徹夜しても、残業代なんて存在しないシステムの働き方なのであった。

そんな私の責めに嫌気が差していたのであろう。彼の返信には、逆に私への「改善要望」が書き連ねられてあった。こうなると、もう、水掛け論になるだけ。

……こうした戦いのストレスが、口内炎となって表面化したのかも。そこまで思うのは、さすがの私も「いかん、いかん」と、頭を振るのだが、いや、だってほかに理由ないもん、と思ったり。夫を責めるだけでなく、私も自分を省みる必要があるのは重々わかっているのだが、なかなかできないでいる。


口内炎の真の理由を探るべく、さらなる検査が秋に待っているが、それまでにこちらの問題こそ、なるべく早く解決したい。

……と、ここまで書いてきて、ふと思った。私は「頑張っているね! いつもありがとう」の一言がほしいだけなのかもしれない。皮膚科の女性医師が言ってくれたように。

世の夫の方々、心では思っているのでしょうが、それをたまには口に出して奥方に伝えてあげてください!

江頭紀子
調査会社で情報誌作成に携わった後、シンクタンクにて経営・経済に関する情報収集、コーディネートを行いつつ広報誌も作成。現在は経営、人材、ISOなど産業界のトピックを中心に、子育て、食生活、町歩きなどのテーマで執筆活動。世田谷区在住、9歳3歳の二女の母。

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