「焼肉屋でエプロンをかけられたら大人」スガシカオの独特な大人観

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2014年09月01日 06:42  BOOK STAND

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『大人エレベーター』扶桑社
「大人とは何か」―――この問いに対する答えは様々あると思います。たとえば大人になった瞬間についても、「お酒が飲めるようになった」「働いて稼いだお金で両親にプレゼントした」「車の免許を取得した」「一人暮らしを始めた」など、人それぞれ自覚するポイントが違うのではないでしょうか。

 本書『大人エレベーター』は俳優の妻夫木聡さんが出演する人気CMシリーズを一冊の本にまとめた対談集。CMは妻夫木さんが架空の「大人エレベーター」に乗り込み、階数に応じた年齢の大人たちに出会い、"大人"というテーマについて本音で語り合う内容となっていますが、放送されているのは格言となるワンフレーズのみ。しかし実際、撮影現場では妻夫木さんとゲストは数時間にもおよぶ「大人対談」をしていたのです。本書では、その対談の内容を完全収録しています。

 ゲストは、リリー・フランキーさんをはじめ、横綱白鵬関、斉藤和義さん、高田純次さん、竹中直人さん、奥田民生さん、中村俊輔選手と各界の著名人ばかり。

 その中でも、歌手・スガシカオさんの「大人」について考え方は、大変、興味深いので少しだけ紹介します。

「焼肉屋さんで、なんかエプロンみたいのを首にかけなきゃなんないじゃない。あれが、抵抗なくかけられたら大人だと思います」(本書より)

 なんと、あのエプロンが大人へのターニングポイントだったというのです。一体、どういうことでしょう。

「もう絶対かけらんなくて。後ろから店員さんにかけられようなもんなら、"なにすんだ!"もみたいな。カッコ悪いし、嫌なんですよ、とにかくね」(本書より)

 スガさんによると、「焼肉屋に着たらエプロンをかける」という店のしきたりに合わせているのがまず嫌で、そもそもファッショナブルではないのも問題なのだとか。向かいに座っている女の子にその自分の姿を見られるのも嫌らしく、本当にエプロンをすることを拒否していた様子。

 ただ、その考えも変わったようです。

「ある時期から服汚れても困るしなぁ、この時間だけだったら目の前にいる女の子も意味を理解してくれるんじゃねーか、と思うようになって、普通にかけてみたら、それはそれで、うん、まぁいいか、みたいなね」(本書より)

 と、案外すっとエプロンをかけることに成功したとか。このタイミングこそ、スガシカオさんが大人になったその瞬間なのだそうです。ちなみに、その瞬間は、取材時の2010年頃。スガさんにとって45歳前後になります。一般企業に就職してからメジャーデビューしたスガシカオさんは、言わば苦労人。デビューも遅く30歳の時でしたが、大人になったのは比較的、最近のことだったのですね......。

 さて、人によって大人になったことを自覚する瞬間は随分と違います。あなたの瞬間はいつでしたか?



『大人エレベーター』出版社:扶桑社
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