清武本「出版差し止め」訴訟――読売新聞に敗訴の出版社が反論「裁判官の常識を疑う」

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2014年09月13日 19:51  弁護士ドットコム

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プロ野球巨人の球団代表を解任された清武英利氏が読売新聞の記者時代に取材・執筆にかかわった書籍「会長はなぜ自殺したか」。その復刻版の出版・販売をめぐって、読売新聞東京本社が出版社「七つ森書館」に対し、出版差し止めなどを求めていた裁判の判決が9月12日にあった。


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東京地裁(東海林保裁判長)は、復刻版の出版・販売は、著作権の侵害にあたると認定。七つ森書館が主張していた「出版契約」については、代理権のない社員によるものなので無効だと判断し、同社に出版・販売の禁止と171万円の支払いを命じた。



この判決の直後、七つ森書館の中里英章社長は、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、「読売新聞の指示にしたがって契約を結んだ。そのプロセスには何も問題がなかったはずだ」と主張。今回の判決を不服として、控訴する意向を明らかにした。



●契約をやりとりしたのは、読売新聞の社会部次長


判決文によると、復刻版の出版をめぐる「契約」が有効だったか否かが、大きな争点だった。



問題になった「会長はなぜ自殺したか」はもともと、清武氏が社会部次長時代にチームを率いて、当時の金融不祥事を取材し、書籍にまとめたもの。1998年に新潮社から「読売新聞社会部」という著者名で刊行されている。



その復刻版の出版を企画した七つ森書館は2010年、読売新聞のホームページを通じて申し入れた。これを受けて読売新聞は、清武氏の元部下で、執筆者の一人だった社会部次長(当時)のH氏に連絡。巨人の球団代表をつとめていた清武氏との打ち合わせなどを経て、七つ森書館とH氏とのあいだで契約に関するやりとりが行われた。



このやりとりの中では、印税についての取り決めや、著者名を「読売社会部清武班」にするという話などがまとまり、2011年5月にはH氏の署名と捺印のある「契約書」もつくられた。



●「出版契約」が有効かどうかが、裁判の争点だった


ところが、清武氏が同年11月に記者会見を開いて、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄会長を告発したことで、状況が一変することになった。



読売新聞の法務部長らは2011年12月、七つ森書館を訪れて、「(弁護士から)出版契約の有効性に疑義があるとの指摘を受けている。仮に出版契約が有効だとしても、契約の解除をお願いしたい。契約解除にあたっては計300万で金銭解決をしたい」と申し入れた。



七つ森書館がこれを断ると、2012年4月から裁判に発展。東京地裁は今回、「契約書とメールの存在をもって、読売新聞がH氏に出版契約の締結について代理する権限を与えたとは認められない。したがって、契約が成立したとは認められない」と判断した。



一方、七つ森書館は「読売新聞の指示したがって、担当者(=H氏)と契約を結んだ。そのプロセスは何ら問題なかった」と主張する。中里社長は会見で、契約書のコピーを手に掲げながら次のように訴えた。



「判決は、出版契約について、調査・確認もしなかった七つ森書館がいけなかったと言っている。しかし、これは『本当にお前(が担当者)なのか。お前と契約していいのか』と聞かないかぎり、出版契約を結んじゃいけないと言っているに等しい。



(契約書には)社会部次長のH氏の自署名がある。そこには小社のスタッフに向けた付箋がはられ、『本社の法務部との協議の上、私個人の捺印と致しました。今後の手続をよろしくお願い致します』とはっきり書いてある。



出版契約の内容についても、読売新聞と丁寧に協議してきた。とくに印税の支払い先については、読売新聞の指示なくして分かりえないことも(契約書に)書いてある。かなり細かく決めていて、そのメールもすべて記録として残っている。



この契約を認めなかった裁判官の常識を疑う」



こう述べたうえで、中里社長は「判決は到底承服しがたいので、控訴する」と力を込めて語った。



記者会見の動画はこちら。



https://www.youtube.com/watch?v=UmXpdoOM4d0


(弁護士ドットコムニュース)



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  • さすが左巻きの弁護士軍団としては、右寄りのよみうりの足を引っ張りたいということですか
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