アップルやアマゾンなど多国籍企業の「課税逃れ」防止策――日本企業への影響は?

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2014年09月25日 14:41  弁護士ドットコム

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アップルやアマゾンの課税逃れをどう防ぐか――。経済協力開発機構(OECD)は9月、多国籍企業が税率の低い国に利益を移して、「課税逃れ」を図ることを防止するための国際ルールをまとめた。


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日本経済新聞の報道によると、企業グループ内の「国境を越えた取引」において、原材料や知的財産をいくらで売買しているのかを報告することを義務づけるという。親会社や子会社がそれぞれの国で税務申告する際に、報告書を提出させ、グループ内の取引を明確にする。



日本では、1億円以下の中小企業は対象から外す方向だというが、もしこの制度が日本で導入された場合、どのような影響が出る可能性があるのだろうか。西村昌典税理士に聞いた。



●「知的財産活用型」の多国籍企業が少なく、影響は限定的?


「アップルやアマゾンといった多国籍企業は、特許権や商標権などの知的資産を税率の低い国に移転して、その後生まれてくる莫大な売上金に基づく利益について、本国で納税するのではなく、低税率国で納税することにより、『課税逃れ』をしていると指摘されています。



その方法の是非はともかく、国際間の取引について、各国が定める税法などに従っている限り、法律的には問題ないでしょう」



では今後、新たな国際ルールによって、日本企業にはどのような影響があるのだろうか。



「報道では、政府関係者が『日本企業は税率の低い国に資産を移転して課税逃れをしているケースは少なく、影響は限定的』と発言しています。



アップルやアマゾンのような、いわゆる『知的財産活用型』の多国籍企業がそれほど多くないこともその理由の一つと考えられるでしょう。



今後は、国際間でのグループ内取引を明確にすることで、課税の強化がより図られます」



どのようなポイントに注意する必要があるのだろうか。



「特に最近の税務調査で問題とされるのは、大企業や多国籍企業の国際間のグループ内取引です。



国際間取引については、その取引価格について、十分な根拠をもって説明できるようにしておく必要があるでしょうね」



西村税理士はこう締めくくった。



【取材協力税理士】


西村 昌典 税理士・公認会計士


中堅監査法人・大手監査法人・一般事業会社を経て独立開業いたしました。第三者の視点・当事者の視点から相談を承れますので、お気軽にご連絡ください。


事務所名   :西村公認会計士・税理士事務所


事務所URL:http://mn-cpa.jp



(弁護士ドットコムニュース)



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