「セブン-イレブンは真の経営のプロとはいえない」 見切り販売訴訟の弁護士が指摘

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2014年10月17日 20:31  弁護士ドットコム

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コンビニ大手「セブン-イレブン」に加盟している店主4人が、消費期限の迫った商品を値引きする「見切り販売」を妨害されたとして、セブン-イレブン・ジャパン本社に合わせて約1億4000万円の損害賠償を求めていた裁判に決着がついた。最高裁が10月14日、上告を棄却する決定を下したため、セブン-イレブン本社に計1140万円の支払いを命じた高裁判決が確定した。


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昨年8月の高裁判決は、本社側が加盟店契約の更新ができなくなるなどと示唆して、見切り販売を妨害したと、認定していた。今回の訴訟には、どんな意義があったといえるのだろうか。原告弁護人の中野和子弁護士に聞いた。



●商品の廃棄コストが店舗の「大きな負担」に


「セブン-イレブン・ジャパンと加盟店が結んだフランチャイズ契約では、商品の『廃棄コスト』を加盟店側が支払うという取り決めがありました。この廃棄コストは、1店舗あたり年間平均500万円以上かかり、加盟店側にとって大きな不利益となっていました。



そもそも、まだ賞味期限内のお弁当などを廃棄するのは、もったいないことですから、一部の加盟店は、お弁当など『デイリー商品』の見切り販売を試みました。その見切り販売に対して本社から妨害があった、というのが今回の裁判の背景です」



――裁判は、どんな構図だったのですか?



「フランチャイズ本部と加盟店の間には、大きな力の差があります。



公正取引委員会は2009年、セブン-イレブンがそうした立場の差を利用して、加盟店の見切り販売を制限したと認定し、独禁法違反の排除措置命令を出しました。



今回の裁判は、そのことを前提とした、賠償請求の訴訟でした」



●「見切り販売」がほとんど行われていなかった


――原告側の主張が認められたのは、なぜでしょうか?



「見切り販売は、廃棄処分を減らせることなどから、小売店の利益になるため、スーパーなどで広く行われています。



しかし、セブン-イレブンの場合、本部指導員が誰も見切り販売をしたことがなく、どのようにするかも知らなかったうえ、『見切り販売はできない』と指導していました。さらに、1万2000店ある店舗(2009年当時)で、加盟店の利益になるのに見切り販売をほとんどせず、商品を廃棄していました。



こういった事実が、『本部側が見切り販売を妨害してきた』という、裁判所の認定につながったと言えるでしょう」



――今回の裁判の意義と、今後の影響については、どう考えますか?



「セブン-イレブン・ジャパンは、2009年度924億円だった当期純利益がその後、1000億円を大きく超えるようになり、2014年度第2四半期も過去最高益を達成したということです。しかし依然として、『見切り販売は加盟店にとって利益にならない』と指導し続けており、結果的に、独禁法違反の時期と比べ、見切り販売をする店舗割合に大きな変化はありません。



このような状況下で利益を上げても、真の経営のプロとはいえないことが明らかになったと思います。違法行為の存在と損害が最高裁で認められたのだから、株主代表訴訟を提起する株主がいてもおかしくありません。



今回の裁判をきっかけに、独裁的な会社風土を転換して、加盟店の利益を尊重するフランチャイズ体制を築いてほしいと期待しています」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
中野 和子(なかの・かずこ)弁護士
2000年からコンビニ・フランチャイズ問題に取り組み、セブン―イレブン以外に、サンクス、ローソン、ファミリーマートなど加盟店側でコンビニ本部と訴訟を展開。前日弁連消費者問題対策委員会副委員長、元第二東京弁護士会副会長。
事務所名:シンフォニア法律事務所



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  • 本社の意向を無視で見切り販売して食中毒が発生したらどうすんだよ。セブンの『見切り販売はできない』は客の安全や発生するトラブルを見越してのものだったはず
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