(C)創通・サンライズジオン公国軍の中核を成すザビ家。その一員であり末弟がガルマ・ザビです。御曹司で美男子、ジオン国民のみならず現実の女性視聴者達を虜にした彼は、昭和アニメ界トップクラスのイケメンと呼んでも差し支え無いでしょう。
【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】
■美しすぎる
今も昔も変わらず、美形というものは持て囃されて得をするように世の中は出来ています。美しすぎる○○だとか、○○王子だとか。それに当て嵌めて言うのであれば、彼は美しすぎる司令官とでも言うべきでしょうか。
シャアに並んで女性人気も高く、早すぎる死にはカミソリメールが送られたり、現実に葬儀をおこなったファンもいたとか。全アニメキャラを合わせたとしても、かなり稀なほど愛されたキャラクターだったと評価できます。その人気も、外見だけでなく中身も良かったからこその物でしょう。外見とはつまりセンター試験のようなものなのです。その後の本試験と面接で合格してこそ、本物の人気者と言えるのです。
■優しくて素直
割と陰謀だらけな印象のザビ家の中で、唯一優しくまっすぐに育ったガルマ。あの兄弟の中でどうやったらこんな純正無菌培養のお坊ちゃんが出来るのか?と疑問になる程に、爽やかな好青年となりました。育ちが良い為に、優しくナイーブで疑う事を知らないと評されていますが、ほぼ同じ環境で育ったと思われる長兄と長姉は何だか凄い事になっています。
結果として、その優しさと盲信をシャアに利用されて謀殺されてしまうわけですが、そんな血生臭い事とは無縁な現代ならば、それは大いなる美徳になるでしょう。いつでも貴女を真っ直ぐに信じて優しく接してくれます。そう、彼がイセリナにしたように。貴方が男性なら、きっと良い友人になれるでしょう。あのシャアをして『良い友人』と言わしめた程の人ですから。
■有能な司令官
さて、占領軍の司令官として地球にやってきたガルマですが、占領軍の司令官というのはそれはそれは大変なものです。調子に乗った兵士達が略奪だの何だのと暴走を起こすかもしれません。それがきっかけで、あるいはそうで無くとも反旗を翻した住民達が反抗してくる可能性もあります。占領地の維持は、前線での作戦行動とはまた別の、ある種の資質を必要とするのです。
ところが彼は、軍規の維持と現地住民との関係改善、その両方をやってのけました。その美形と性格、国葬の件を考えるに求心力は元々高かったと思いますが、これはなかなか出来る事ではありません。もしかすると、兄弟の中で最もリーダーとして適していた人物なのでは。カリスマ性に乏しい日本に是非とも欲しい人材ではないでしょうか。
■最期まで気高く
国民にも視聴者にも愛されたガルマ君。しかしその命は僅か10話にして、親友の裏切りという彼にとってはまさに青天の霹靂に等しい出来事で儚く散る事となります。しかし彼は、最期までザビ家の誇りと名誉にかけて、ホワイトベースを道連れにしようとします。その姿は実に高潔で勇ましく、彼の中にもやはり武人の血が流れている事を感じさせます。
燃え盛り火の鳥となったガウ攻撃空母を自ら操縦し、ジオン公国の栄光を叫びながら最期は爆発の中に消えていきます。結局その攻撃は無駄に終わってしまいましたが、彼の志は死なず、ジオン国民の心の中に燃え続けた事でありましょう。ジーク・ジオン。
■哀しいマリオネット
結局、彼はシャアの復讐に利用され、その原因は恐らくザビ家であり、死して尚兄弟達に利用され続けました。ジオン・ダイクンの暗殺が事実かどうかはさておき、彼は最期まで兄のギレンや親友のシャアに踊らされ続けた、美しくも哀しい操り人形であったと言えます。
ただそれ故にこそ『薄幸の美男子』と称され人を惹きつけたという事は、疑いようの無い事実でしょう。滅びの美学というものは確かに存在し、その儚さに魅力を感じるのもまた人なのです。薄命の貴公子、ガルマ・ザビ。再放送の度に途中退場すると知りつつも、生存を願ってやまないキャラクターであります。
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★記者:諸葛均(キャラペディア公式ライター)
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