もてはやされる「ブレない」スタイル でも実は「ブレる」って素敵なこと

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2014年11月12日 06:51  BOOK STAND

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『発想の種 IMAGINE [発見編]』茂木 健一郎,川崎 健二 講談社
今季、サッカーのイタリア一部リーグ(セリエA)の名門ACミランで大活躍中の本田圭佑選手。開幕戦でゴールを決めると、その後もコンスタントにゴールを重ね、一時はユベントスのテベス選手らと並んで得点ランクトップにもなりました。最近の試合では、ゴールこそ奪っていませんが、監督からの信頼も厚く、11試合連続での先発出場が続いています。

 その本田選手といえば、時折"ビッグマウス"とも言われるピッチ外での発言が魅力のひとつでもあります。

「何で他人が俺の進む道を決めんねん、自分の道は、自分が決める」
「壁があったら殴って壊す。道が無ければこの手で作る」
「変えてうまくいかなかったら、一生後悔する。ここまでくれば、貫くことが大事」

 以前から自分の思いを素直に発信することで、本田選手は多くのファンをしびれさせてきました。調子が悪かろうが、自分の信念を貫く彼の姿勢。たしかに、ACミラン移籍1年目は、本来のパフォーマンスとは程遠い本田選手にメディアやサポーターからの批判が集中しました。しかし、ブレることなく信念を貫いた結果、本田選手は見事、今季のブレークを果たしました。

 その一方、ブレることを推奨する人もいます。

 くまモンの生みの親である放送作家の小山薫堂さんです。『カノッサの屈辱』『料理の鉄人』などのテレビ番組をヒットさせた小山さんは、自著『発想の種[発見編]』のなかで、"ブレるべき"だと語っています。

 そもそも小山さんが放送作家になったきっかけは、日本大学芸術学部の放送学科を受験したため。しかし、そこに高い志があったわけではなく、志望大学に落ち、友人が見せてくれたパンフレットを見て「昔からテレビが好きだったから受けてみよう」と思ったからという、行き当たりばったりのものだったそうです。

 小山さんは自身のことを「行き当たりばったり」な生き方と分析していますが、それはある種の才能なのかもしれません。

 また、小山さんは父からよく「東大病にかかっていた」という話しを聞いたそう。小山さんの父親は「東大以外は大学じゃない」と、東大入学を目指しましたが3浪した挙句に、大学進学を断念。しかし、小山さんの父は「東大に行っていたら、もっと不幸になっていたと思う」と小山さんによく話していたそうです。そんな父の話を聞いた小山さんは、人は知らず知らずに最良の人生を歩んでいるということに気付いたのです。

「うちのスタッフにも言っているのは、ブレていい、ブレるって素敵なことなんだと。昔はブレたらダメで、みんなブレないように一生懸命やっていましたけど。それを『ピボット』という言葉に置き換えればいいんだなと。ピボットって、バスケットのパスを出すときにするあのステップです。でも、そのときに大切なのは、軸足は絶対に動かさないこと。そして、誰にパスを通せば一番いいかをしっかり考える。たぶん、今の時代はいろんな価値観が常にめまぐるしく変わっているので、違うかなと感じながら、ブレちゃいけないって頑張っていると、失敗すると思うんです」(同書より)

 行き当たりばったりの良さを知っている小山さんは、ブレることを容認。軸足をしっかり固定しつつ、ブレながら一番いい選択肢を選べば良いと考えているのです。

 ブレずに結果を出す本田選手、ブレることで結果を出す小山さん。信念は180度違う二人ですが、どちらも大きな結果を残している人たちです。あなたはどちらの"スタイル"でいきますか?



『発想の種 IMAGINE [発見編]』
著者:茂木 健一郎,川崎 健二
出版社:講談社
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このニュースに関するつぶやき

  • くまもんの生みの親があの伝説の深夜番組「カノッサの屈辱」を制作した小山薫堂さんなんて驚いたなぁ。カノッサの屈辱のようなシュールな笑いは今のバラエティーには無いから今でも伝説だね。
    • イイネ!1
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