地方で生きていくには、よりコミュニケーション能力が必要?

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2014年11月14日 06:41  BOOK STAND

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『融解するオタク・サブカル・ヤンキー ファスト風土適応論』熊代 亨 花伝社
大型ショッピングモール、コンビニ、幹線道路沿いのどぎついネオンサイン。これらは、いわゆる「ファスト風土」と呼ばれる地において、象徴的な光景です。

『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』の著者であり、自らファスト風土で精神科医をしている熊代亨さんは、こうしたファスト風土のなかで生き抜いていくことが出来るか否かは、コミュニケーション能力にかかっているのだと指摘します。

 ファスト風土に生きる人々のステレオタイプとして、多くの人が思い浮かべるのは、例えば「地元のラウンドワンやイオンに出かけ、バーベキューやデートに満足し」たり、「地元のサッカーチームを応援したりよさこい系の祭りで盛り上がったりする」などといったイメージなのではないでしょうか。地元や友達関係をこよなく愛している彼らは、「コミュニケーションのヒエラルキーのなかで良好なポジションを維持し、学生時代からこのかた不登校やいじめとも無縁で、居場所や役割の椅子取りゲームに勝ち残ってきた、コミュニケーションの勝者達」(同書より)なのだと、熊代さんはいいます。

 そして、そうした人々にとっては、「創作ラーメン店のポエムに素直に感動し、クリスマスにはコンビニのケーキで団欒を楽しむ。パワースポットで生きる元気をもらい、アニメのプリントされたTシャツを着ればオタク気分になり、ラブホテルのゴージャスな記号でVIP気分になれる」(同書より)という、ファスト風土に存在する施設を利用した、わかりやすく売れ線のコンテンツの消費の仕方は、仲間たちとのコミュニケーションを盛り上げるために最適なのだそうです。

 そのため「首都圏目線でみれば『没個性的で、なにもない』」と目に映る冒頭であげた光景も、「地元民目線でみれば『面白くて、なんでも揃っている』」光景であるのです。

 しかしファスト風土で暮らしているからといって、全ての人がコミュニケーション能力に長けているわけではありません。上記のような人々の他に、実際には、「地元に渋々居残っている若者」や「なんとしてでも勉強したり親を説得したりして地元を飛び出そうとする若者」達がおり、彼らは非常に厳しい立場に置かれているのだと指摘します。

「『明るいファスト風土観』の足下には、コミュニケーションの競争についていけなくなった個人、ハブにされてしまった個人が少なからず埋もれていることを、もっと世の中の人は知っておいたほうが良いと思います」(同書より)

 同書では、かつての、そして現在のオタク・サブカル・ヤンキーの構造を、ファスト風土に生きる人々の視線、文化の受容の仕方を交えながら解明していきます。



『融解するオタク・サブカル・ヤンキー ファスト風土適応論』
著者:熊代 亨
出版社:花伝社
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  • よく分からないが、東京に全部揃っていると想うのは幻想です。どうしても足りないから、創り出すと言うのが現状です。そんな事を想ったニュース(・ω・)
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