EV・PHVの航続距離を2倍にするリチウムイオン電池

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2014年11月21日 12:20  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

CO2を排出しないクリーンなクルマとして、いち早く市販化されたEV(電気自動車)。が、今ひとつ普及しない原因のひとつが航続距離だ。その航続距離を補うために、PHVやレンジエクステンダーEVが数多く登場している。

そんな中、日立製作所は11月14日に、EVの航続距離を従来の2倍にできるリチウムイオン電池の技術を開発したと発表した。

航続距離が長い日産・リーフでも228km

現在、市販されている主なEVでは、一回の充電で可能な走行距離がかなり短い。日産・リーフで228km。三菱・i-MiEVではXグレードで180km。BMW・i3が229km(いずれもJC08モード)。

これらはすべてカタログ値だから、走行条件や運転方法などによってはもっと短くなる場合もある。充電ステーションが少ないこともあり、実際にはまだまだ使い勝手がいいとは言えないのが現状だ。

高出力化と長寿命化を両立した日立の新技術

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EVの航続距離を伸ばすには、搭載するリチウムイオン電池の高出力化が従来からの課題だった。電極の厚みを増す必要があるのだが、単純に厚くするだけではだめ。電極に含まれるリチウムイオンを出し入れする“活物質”の分布が不均等になり、リチウムイオンの移動が妨げられる=出力低下に繫がるからだ。

そこで日立製作所では、電極の厚さを従来の2倍にしつつも、電極構造を3次元で可視化できる技術を開発。“活物質”の分布を最適化=高出力化することに成功したという。

また、寿命の面でも新技術を開発している。

負極に使う前述の(リチウムイオンを出し入れする)“活物資”には、従来から使われている炭素系材料よりもシリコン系材料の方が優れている。が、シリコン系材料は寿命がいまひとつ。そこで、伝導性表面処理を施すことで炭素系材料と同等の寿命を持つシリコン系材料を開発。正極側でも充電電圧の高電圧化による寿命の低下を対策し、トータル的に高出力化と長寿命化が達成される電池を作ることが可能だ、という。

EVがより“使える”クルマになる可能性は高い

日立製作所が「高エネルギー密度型リチウムムイオン電池」と呼んでいるこの電池は、従来比約2.6倍のエネルギー密度335Wh/kgを達成する。実現すれば、EVでも一回の充電で車種によっては約400kmの航続距離が可能になる。出先に充電ステーションさえあれば、かなり遠出ができる距離だ。日立では、2020年頃の実用化を目指して今後も開発を進めるという。

リーフの航続距離が400kmに?

11月17日付け日刊工業新聞の記事によれば、日産が「リーフの航続距離を400kmに引き上げる」という。既存のリチウムイオン電池と同等サイズで、航続距離が2倍にできる電池システムの完成にめどがついたためで、市場投入は数年内とのことだ。

最近は、トヨタが12月に世界初のFCV(水素で動く燃料電池車)・MIRAIを市販するなど、EV以外の次世代自動車の動きも活発。EVはやや押され気味の感さえある。が、電池で動くためランニングコストを低く抑えられるなど、メリットも大きい。

日立の新技術をはじめ、日産や三菱などEVを発売しているメーカーの動向も含め、今後も注目していきたい。

*参考:電気自動車の走行可能距離を従来の2倍にする高エネルギー密度型リチウムイオン電池の要素技術を開発

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