電気自動車(EV)ならではの機能に「V2H」/「V2L」がある。
これは電気自動車のバッテリーに蓄えられていた電気をクルマの外に供給する機能で、「V2H」は「Vehicle to Home 」でクルマから家へ、「V2L」は「Vehicle to Load」でクルマから電気機器への供給を意味する。
そして、すでに日産自動車は「Leaf to Home」、三菱自動車は「MiEV power BOX」という名称で、外部への電力供給機能ができる機器の販売を行っている。日産は、ネーミングのとおりに家への給電で「V2H」、三菱は電気機器向けの「V2L」だ。その他、トヨタのプリウスPHVもV2Hに対応している。
こうしたクルマの外部への電力供給機能は、つい最近に発表されたトヨタとホンダの燃料電池車(FCV)にも備わっている。というか、外部への電力供給能力に関して言えば、FCVの能力は非常に高い。なんといっても、燃料電池とは、水素から発電するシステムのこと。いわば、燃料電池車(FCV)は動く発電所のようなものだからだ。
ケタ違いの発電能力
燃料電池車(FCV)の発電能力がどれだけ高いかといえば、据え置き型の燃料電池であるエネファームと比較すれば分かりやすいだろう。現在、発売されているエネファームの発電力は0.75kW。それに対して、トヨタのFCVであるMIRAI(ミライ)の最高出力は114kW。ホンダのFCV CONCEPT(FCVコンセプト)も100kW以上。まさにケタ違いの能力だ。
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それだけの発電能力を有するFCVということで、MIRAI(ミライ)もFCV CONCEPT(FCVコンセプト)も、それぞれ外部への電力供給機能が与えられている。しかし、面白いもので、日産と三菱が「V2H」と「V2L」で異なったように、トヨタとホンダもそれぞれ違うタイプを用意したのだ。
トヨタとホンダの違い
トヨタのFCV用外部電力供給システムは、据え置き型であった。装置は電力系統に繋げられており、普段は電気自動車向けの充電設備として利用可能としている。そして、いざというときは、MIRAI(ミライ)の燃料電池から電力を受け取り、家や電気製品に電力を送るというもの。そのときは、最大9kWで約60kWhもの電力を供給可能としている。V2HとV2Lの両方の機能を備えたものであった。
一方でホンダの外部電力供給システムは持ち運び型のV2Lであった。60kg以下でクルマでの運搬が可能。最大出力はトヨタと同じ9kWだ。
ちなみに、FCV用の外部電力供給システムは、メーカーの枠を超えて互換性を持たせることになっている。つまり、トヨタのシステムにホンダのFCVをつなぐこともできるし、その逆も可能だ。ユーザーは目的にあったシステムを採用すればいい。据え置き型がいいならトヨタ、持ち運びたいならホンダという具合だ。
トヨタとホンダはFCVではライバルとしてライバルとなるが、給電システムに関しては互いに補完しあう関係になっているのが面白いところだ。
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