「今度Amazonがドローンを使って配送するらしいよ」「ドローンで撮影した動画が凄くカッコイイ」など世の中でドローンが流行しているようだ。なんとなく知っていても実はよく分かってない、いまさら聞きにくいという人も多いに違いない。
そこで、これまでのFUTURUSの記事を引用しつつ、基礎知識をまとめてみよう。
ドローンは無人飛行機である
簡単にいうと、ドローンとは人が乗っていない航空機、飛行機全般を指す。
まずUAV、Unmanned Aerial Vehicleは無人航空機。これは通常の有人航空機に対するもので、人が乗っていない航空機をさす。
ドローンはロボットを意味する言葉で、遠隔で人が操縦するUAVと異なり、予め決められたコースに沿って飛行したり、プログラムにより自律制御される意味合いが強い。
(参考:日本ではなぜドローンが普及しないのか )
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ドローンは無線で遠隔操縦、または自動操縦することで空を自由に飛び回ることが可能。無線操縦(ラジコン)の場合、普通のラジコンと同じく有視界で飛ばす場合と、FPV(First Person View)と呼ばれる搭載されたカメラの画像を伝送、手元のモニターを見ながら飛ばす方法があり、昨今はホビー用でもFPVに対応したものが多くでている。
形態は航空機からクワッドコプターまで様々
一口にドローンといっても、その形は様々。翼がついている普通の飛行機型であったり、ヘリコプター型、飛行船型があるが、最近の流行りはマルチコプターだ。
クワッドコプターはローターの数を意味し、クワッドは4つ、ヘキサコプターなら6つ、オクタコプターは8つとなり、それらを総称してマルチコプターと呼ぶ
(参考:日本ではなぜドローンが普及しないのか )
プロの空撮業者が使用するのは最低でも6つ、多くは8つ以上回転翼を備えるものを使用するが、ホビー用に普及しているものは4つのクワッドコプターが主流。
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ドローンの使用用途
ドローンの発達は軍事用UAVから来ており主な任務は偵察と空爆だ。民間利用では空撮と配達が主な目的となる。
GoProなどカメラを搭載して空撮するのは、これまでヘリや軽飛行機などでしかできなかった空撮を一気に身近なものとした。雄大な景色を高いところが撮影が可能だからだ。さらにこれが進化すると自分撮りをドローンに任せるといった利用方法も出てきている。
(参考:セルフィーが面倒だからドローンに任せてみた、空撮されたい人はこのドローンを使えばOK )
また爆弾の代わりに荷物を搭載して、配達に使おうという試みがされている。Amazon、Google、DHL、ドミノピザと名だたる企業が参入を表明、開発を重ねている。
8月28日、米グーグルは無人飛行機(ドローン)による配送システムの開発状況を動画で公開した。
同様の試みは米アマゾンやドミノピザでも既に行われているが、グーグルの参入で商業利用への開発がさらに加速しそうだ。
グーグルでは、自動車の開発なども行っている「グーグルXラボ」が、2011年から無人飛行機の配送システム開発に乗り出していた。
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(参考:Google「プロジェクト・ウイング」で無人機業界がさらに加熱か、DHLが無人航空機による定期宅配便開始、Amazonより早く配達するかも?ベルギーの空中搬送機に注目)
実用化には技術的な問題だけではなく法規制が障害となっており、今後認可されるかどうか注目が集まっている。
その他AEDを緊急搬送させるといったアイディアもある。
つねにAEDが近くあるとはかぎらない。また、近くのどの施設に設置されているかわからないケースだってあるだろう。そんなとき、AED自らが現場にかけつけるというアイディアをオランダのデルフト工科大学の大学院生が考えた。ドローン(無人機)にAEDを搭載させたのだ。
(参考:心停止したときには、空からAEDが飛んでくるようになる!? )
このように利用シーンは無限に考えられ、ドローンは今非常に熱いジャンルとなっている。
ドローンの問題点と安全確保
ドローンの利用が増えるにつれ、墜落事故など社会問題となっている。飛行機と違い厳しい検査や認可を不要とする小型ドローンは、操縦者のスキル不足、故障、混信によるノーコン、気象条件といった様々な理由によりいとも簡単に墜落してしまう。
何もないところに落ちれば壊れただけで済むが、ひとたび人にぶつかれば大事故を引き起こす危険性もある。実際に国内でも繁華街に墜落した事故未遂や、マラソン大会で人身事故が発生している。
ドローンの商用利用が検討されているアメリカではいち早く航空管制システムを開発中とのこと。
米New York Timesが9月1日に報じたところに依れば、NASA(米航空宇宙局)は商用ドローンの飛行が安全に行われるための航空管制システムを開発中だという。
この航空管制システムが想定しているのは、上空400〜500フィート(122〜152メートル)、つまりGoogleやAmazonなどが開発中の商用ドローンが飛行する予定の空域になる。
つまりNASAは、GoogleやAmazonなどの商用ドローンが実際に荷物を運ぶために空を飛び交うことになる、という想定をしていることになる。
(参考:NASAがドローンの交通整理を検討中か、ドローンの交通整理がいよいよ本格化 )
ドローンが普及し、誰もかれもが飛ばすとドローン同士の空中衝突も懸念されるので、こういった流れは自然である。
つい先ごろアメリカ連邦航空局(FAA)がドローンの商用利用について、厳しい法規制の方針を打ち出した。
(参考:Unmanned Aircraft Systems , The FAA’s Drone Rules Are Too Narrow, But They’re Better Than Nothing | WIRED )
日本でも問題が大きくなれば飛行について許可制や操縦の免許制、さらには航空管制が導入されることも予想される。
現在はホビー用としてたくさん空撮クワッドコプターが販売されており、アクションカメラ大手GoProもオリジナルのドローンを発売予定だ。しかしこういった動きも法規制が入れば一気に冷めるかもしれない。ドローンを手軽に楽しめるのは今だけ、という状況になるかもしれないので、気になる人は早めに試しておくといいだろう。