この1,2年、さまざまな装置の”スマート化”が進んでいる。それを支える大きな環境の変化として、インターフェイスとしてのスマートフォンの普及、そして各種機器をネットにつなげる手段としての家庭内WiFiの普及、そしてスマートフォンと各種機器との通信手段としてブルートゥースの普及があげられるのではないだろうか。
それによって、これまでスタンドアローン(ほかの機器と連携せず単独で動作する)で使われていた装置、というかほかの機器との連携など考えられてもいなかった装置が、ネットにつながり、スマートフォンと連携して複雑で高度な機能を持たされるようになってきた。たとえば、下のようなもの。
オーブンである。現在クラウドファンディングのサイトKICKSTARTERで資金募集中のMAIDという名前のオーブンだ。このMAID、インターネットに接続し、クラウドにストックされているさまざまなレシピをもとに作動するのだという。
先日当サイトで「スマート・フライパン」を紹介したが、火加減がむずかしいフライパンと比べると、正直にいってオーブンの操作はむずかしくない。温度を設定できるからだ。手作業でやるとしても、レシピどおりの温度設定と時間にするだけなので、それが自動化されたとしても、そんなに大きなメリットはないかもしれない。
レシピ検索から手伝ってくれる
でも、このMAIDはその先を行っている。まずレシピ検索から手伝ってくれるのだ。ユーザーは使いたい材料や作りたい料理、それどころか単にMAIDに”おススメ”をきくだけで、専用のクラウド上にあるレシピを検索できる。さらに、必要な材料をリストアップしてくれて、どのような下ごしらえをしたらいいかを、音声や映像までまじえながら教えてくれるのだ。
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温度や時間はレシピにしたがって自動で設定される。また数量の増減や好みによって調整することも可能だ。そして、MAIDは学習機能も持っている。レシピとちょっとちがう調理方法を繰り返していると、それを記録し、レシピをユーザーに合わせて変えてくれるようになる。
さらにおせっかいなことに、MAIDは日々の調理からユーザーの摂取カロリーを把握し、専用アプリで連携したスマートフォンやスマートウォッチからの情報でユーザーの日々の活動を把握し、「運動するべきだ」「歩いてきたほうがいい」場合によっては「走ってきたらどうか?」とアドバイスしてくれるのだという。
レシピ集はオーブンのためのものだけではない
やはり魅力的なのはクラウド上のレシピ集だ。これにはオーブンを使った料理にかぎらず、幅広いレシピが収録される。したがって、コンロやグリルを使った料理をするときにも、MAIDにガイドをしてもらって調理することができる。つまり単なるオーブンを超えて、台所でのアシスタントになってくれるのだ。
スマートフォンの専用アプリを使えば、ユーザーが自分で作ったレシピをクラウドにアップすることもできるようになっている。そうやってクラウド上のレシピもだんだん増えていくシステムだ。
このMAID、一般的なオーブンと同様に、コンベック機能、電子レンジ機能、そしてトップヒーター機能を備えている。通信方法はWiFiだ。スクリーンは6インチで、操作はタッチパネルでできるが、料理中に指がきれいだとはかぎらない。音声コントロールやジェスチャーコントロールでも操作できるようになっている。
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ずいぶん盛りだくさんの内容で、本当にすべてが実現できるのかと思うが、KICKSTARTERにおいて目標額にはとっくに達している。
このMAIDにおいてもっともキーになるのはレシピの中身と、それにともなう調理の精度ではないだろうか。こればかりは実際に使ってみないとわからない。このMAIDは2015年の感謝祭(11月下旬)までには発売予定で、標準価格は449ドルになるようだ。
これはこれで先進的かつユニークなアイテムだが、ここまで来ると、この先まで期待してしまう。そう遠くない将来には、非接触式の温度センサーを使うなどして、材料の火のとおり具合を見きわめて調理するオーブンが出てくるのではないだろうか。
*参考:MAID Oven – Make All Incredible Dishes by SectorQube, Inc. — Kickstarter
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