当初はほとんどプラスチックにかぎられていた3Dプリンターの技術は、ほかの素材へとどんどん広がりを見せている。当サイトでの過去記事でも、金属や皮膚などを作る3Dプリンターを紹介している。そして今回紹介するのはコンクリートだ。
11月24日、イギリスのラフボロー大学と、スウェーデンの建築会社Skanskaのあいだである契約が交わされたと、ラフボロー大学のウェブサイトで発表された。これは、ラフボロー大学が権利を持つコンクリートの3Dプリンティング技術の実際の建築への応用をSkanskaに許可するものだ。
この技術は、コンピューター制御でコンクリートを連続的に積層していくことで、高品質なコンクリートの部材を作ることができる。この方法を使えば、従来の工法ではできなかった複雑な造形のコンクリート部材も可能になる。
最初の1年半は、世界初の商業的なコンクリートプリンティングロボットを開発する予定になっている。ラフボロー大学とSkanskaの協力体制のなかでは、設計事務所であるFoster and Partnersや、Buchan Concrete、ABB、Lafarge Tarmacといった企業とのコラボも行われる。
Skanskaはこの技術を活用することによる新たな可能性を調査し、3Dプリンティングによるコンクリートの供給チェーンを築くことを目指している。
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複雑な造形の部材を短時間で作れる
この新しいテクノロジーに出資することで、建築の工法とデザインの面でSkanskaは大きなアドバンテージを得ることになる。
Skanskaの担当者は、「3Dプリンティングをモバイル・プレファブリケーション・センターと融合させれば、建物の複雑な部材を作るのに要する時間を、何週間という単位から何時間という単位にまで短縮することができる可能性がある。われわれは建築において、いままでにないレベルの品質と効率が実現できるかもしれない」と話す。
このコンクリートを3Dプリンティングで造形する技術が普及すれば、複雑なデザインの建築物がこれまでよりずっと安価で作れることになるだろう。これまで以上にユニークな建物や、意匠が増えるかもしれない。
3Dプリンティングによるコンクリート部材の成形の様子は下の動画で見ることができる。
*出典:Loughborough University News and events -Partnership aims to develop 3D concrete printing in construction-
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