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次世代モビリティで思い浮かぶといえば、最新技術の粋を結集して開発が進められている「FCV(燃料電池車)」が筆頭だろう。
しかし、FCVには、FCスタックのコストダウンやインフラ整備などの課題が山積している。また、電池だけで走るEV(電気自動車)にも、電池のコスト高や、それに起因する航続距離の不足などのデメリットも大きい。
そうした中で注目されるのがPHV(プラグイン・ハイブリッド)だ。簡単に言えば、HV(ハイブリッド)に電池を多く搭載して、より多くのEV走行(数十Kmレベル)を可能とする。しかも、家庭用などの電源から充電できるようにしてある。その結果、毎晩、家で充電しておけば、買い物や駅までの送り迎えなどの日常の近距離はすべてEV走行でまかなえる。クリーンでサイレントでエコというわけだ。
そして、週末にドライブにでかけたいときはガソリン・エンジンがあるから航続距離に不安はない。普段はEVで、週末ドライブではハイブリッド。そうしたふたつの使い方ができるのがPHVだ。
そんな便利さや技術的&導入のハードルの低さもあって、FCVの本格普及となるまでの間を埋める次世代モビリティとしてPHVが期待されているわけだ。
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PHVの弱点とは
しかし、PHVにも弱点がある。それはコストと重量だ。ずいぶん安くなったとはいえ、まだまだ駆動用の二次電池の価格は高い。
CEV補助金やエコカー減税などの優遇措置を除くと、アウトランダーとアウトランダーPHEVの価格差は、約92万円、プリウスとプリウスPHVの価格差は約70万円と、差があるのが事実。
また、たくさんの電池を積めば当然、重量が増す。EV走行時は、エンジン&ガソリン燃料という余分なウエイトを積んで走ることになる。HV走行時は逆に、必要以上の電池が重いため、素のHVと比較して燃費性能が不利になる場合もある。
そうした問題があるため、現状、日本車のPHVは、プリウスPHV、アコードプラグインハイブリッド、アウトランダーPHEVと、ごく数えるほどしか販売されていない。
![¥×¥ê¥¦¥¹PHV](http://nge.jp/wp-content/uploads/2014/12/42ec45ffb1b4074c4dee3a089349e5c9-690x379.png)
高級ブランドでは
ところが、少々お高くてもOKな高級ブランドになると、前提が変わってくる。値段が少しくらい張ることは問題にならない。また、強力なエンジンがあれば、重い電池の負担も気にならない。PHVの弱点が緩和されているのだ。そのため、メルセデスベンツSクラスを筆頭にポルシェカイエン、アウディA3などの欧州プレミアム・ブランドはプラグインハイブリッドを積極的に導入している。
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また、電池のコストダウンも徐々に進んでいる。そうなれば、当然、日本車にもプラグインハイブリッドが増えてくるはず。5年、10年という単位で考えれば、PHVの存在感は確実に増していくことだろう。
しかし、個人的な考えを述べさせていただければ、PHVは次世代モビリティとしてハイブリッドを駆逐する存在にならないと思う。確かにPHVは万能選手だ。シーンの中心選手になるかもしれない。しかし、素のハイブリッドにも効率の良さというメリットがある。インフラが整えばFCVのニーズもある。近距離しか走らないからEVで十分という人もいるだろう。
それどころか電池の価格が安くなればEVの魅力も増しているはず。PHVは多用なニーズに応える便利屋さんだけれど、逆に、特化したニーズに対しては専門家の方が上。つまりPHVが他を駆逐するのではなく、EVやHV、FCVなどと補完しあう関係になる。それがリアルな未来のモビリティの姿ではないだろうか。