【昭和28年のカラー映像】60年前の日本の映像がいろいろとすごい

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2014年12月12日 12:22  gooランキング

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カラーで見ると現代とさほど変らない?


どうも、服部です。昭和30年代の日本の日常を映した映像の紹介にはじまり、昭和40年代、そして昭和1ケタ、昭和10年代ときて、今回は初の昭和20年代です。しかもカラー映像です。

タイトルは「Japan's Rising Sun, 1953(日出ずる国、日本 1953)」、1953年なので昭和28年、第二次大戦が終わった8年後の映像です。35分と結構長い映像なので、面白そうなところだけかいつまんで紹介していきます。

ただ惜しまれることにこの映像は無音です。映像を公開している「travelfilmarchive」によると、映像公開時に作者のMrs Deane Dickasonがナレーションを付けるため(音声を消していた)だそうです。とはいえ、60年前の日本のカラー映像なので、それでも十分貴重です。

この記事の完全版 (画像37点、動画1点)はこちら

まずは日本地図が表示され、順番に都市名が表示されていきます。見たところ紹介していく順番のようです。「東京、横浜、鎌倉、青森、函館、札幌」。

前半はひたすら建造物ばかり映しています。近代的な建造物が中心なので、戦後8年でここまで復興していますという内容を伝えたかったのでしょうか。1999年(平成11年)に取り壊された旧丸ビルのようです。さらには帝国ホテルがあり、東京駅丸の内駅舎があり……、

なぜか一気に東京国際空港(Tokyo International Air Port)へと移ります。日本航空機が映し出されています。日本航空(JAL)は、この2年前の1951年(昭和26年)8月に設立され、翌1952年10月に自主運航を開始したので、かなり初期の航空機です。恐らくダグラスDC-4B型機かと思われます。デザインがとてもシンプル。タラップを降りてくる人々の中、ひとりの女性がひときわアップにされていますが、誰なのでしょうか。ここだけでもナレーションが聞きたいです。

映像は再び東京の中心部に戻り、皇居のお堀に、国会議事堂、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の本部として使われていた第一生命ビル、東京大学大講堂(安田講堂)などが映し出されます(建造物自体は現在もほぼそのままなので割愛します)。

ようやくここから生活が映し出されていきます。小学校の体操の時間のようです。服の生地が多少違うかなというぐらいで、現代とそれほど違和感がありません。こちらは男子たち。一番の笑顔は先生だったという。。。

お祭りを見物する子供たち。みんな真剣な表情です。

パチンコ屋さんの看板です。イラストがほんわかしています(初期のサザエさん風)。屋外、そして立ちプレイのようです。季節や天気によっては遊戯が大変そうです。もちろん電光表示などはなしですが、基本的な部分は現代のパチンコ台とさほど変わらないようです。



映像は相撲や野球観戦、横浜の港、鎌倉の大仏などを紹介した後、場所は分かりませんがノスタルジックな風景が映し出されます。虫取り網を持った少年が家に帰ってきたり、未舗装の道路を歩いていく学生たちだったり。



東北本線でしょうか、電車の走行シーンに切り替わります。車窓からの景色には、茅葺き屋根の家々が見えてきます。「ヒタチランプ・日立真空管」の広告もありました。



いきなり船のシーンに。青森駅と函館駅を結んでいた青函連絡船かと思われます。1988年(昭和63年)の青函トンネルの営業開始をもって廃止になっています。

この映像が撮影された翌年の1954年(昭和29年)9月26日に、台風の影響で青函連絡船「洞爺丸」が沈没、死者・行方不明者合わせて1155人という、日本海難史上最大の事故となる「洞爺丸事故」が起き、それが青函トンネル着工を一気に具体化させたといわれています。

画像は手前の建物が札幌の三越のようなので、青森も函館も通過点にすぎず、素通りして行ってしまったようです。その奥に見える塔のある建物は、昭和12年俊工の丸井今井の建物でしょうか。

札幌と思われる目抜き通りを歩く人々を見ると、みんなお洒落してます。

ずらりと並ぶ靴磨き屋さんの列。当時は未舗装の道が多かったので、靴磨きの需要も多かったようです。靴磨きのおばちゃんの上着も結構現代風。



取材班は札幌を離れて汽車で田舎駅へやってました。そこから三輪トラックのようなものに乗り換えて……、

どうやらアイヌ民族の村へやって来たようです。赤ちゃんをおんぶしているお母さん。最後は長老さんでしょうか、笑顔でサービス。



【動画】「Japan's Rising Sun, 1953(日出ずる国、日本 1953)」


いかがでしたか? 昭和20年代というと戦後の厳しい時代という印象がありますが、カラー画像ということも手伝ってか、予想以上に現代とさほど変らない光景が多数見受けられました。やはりモノクロの映像で見るのと、カラーで見るのとでは大きく違うものですね。

(服部淳@編集ライター、脚本家)



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