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大気の状況が地球に近いということから、探査や移住計画などで話題になりやすいのが火星だが、実は地球からの距離で考えれば金星の方が遙かに近い。
地球と他の惑星間の距離は軌道が楕円で有るため幅があるが、地球から火星までの最小距離は約7,800万km。一方地球から金星までの最小距離は約4,200万kmとかなり近付くのだ。
そこでNASAでは、金星に人類を送り込むユニークで壮大な計画が始まっている。
地球に近いのは火星よりも金星だ
「水金地火木…」と太陽系の惑星の順番を暗記したことがあるかもしれない。そう、金星は火星と同じく地球のお隣さんで、地球よりも太陽側を回っている。
金星は地球型惑星と分類されており、岩石や金属で惑星が構成されている。
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また、惑星のサイズも火星が平均半径約3,390kmであるのに対し、金星は約6,051kmと、これもまた地球の約6,371kmに非常に近い。
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しかし大気圧や気温、大気の組成などについては大きく異なっているため、そのままではとても人類は入り込めない。
まず金星では温室効果によって地表の温度が500℃以上に上昇する灼熱地獄だ。
また、大気圧も平均90気圧と地球の90倍も高いため、瞬時で我々は潰れてしまう。実際、1972年に当時のソ連から金星に送り込まれた「ベネラ8号」という探査機は、金星に着陸してから50分で破壊された。
つまり、金星は地球に最も近い惑星で、大きさも組成構成も地球に似てはいるが、地表の環境は灼熱・高圧地獄なのだ。
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しかし上空に注目すると、ずいぶんと環境が変わってくる。気温も高度50km程で75℃にまで下がるのだ。
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しかも太陽光は地球の約1.4倍降り注ぐにもかかわらず、放射線量はカナダ国内の平均値に近いという。これは金星の大気圏に分厚いオゾン層があるためだ。
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そこでNASAの研究者らは、この豊富な太陽光をエネルギーとして取り込める太陽電池を装備した巨大なヘリウム飛行船を、金星の上空に浮かべて有人探査を行おうと考えている。
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それが「HAVOC(High Altitude Venus Operational Concept)」と呼ばれるコンセプトだ。
それだけではない。将来的には、そのヘリウム飛行船を合体させたような空中ステーションを建設し、人類を移住させようというのだ。
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人類は火星よりも先に金星に到達できるか
この壮大でユニークなミッションについて、NASAは現実的なものとして考えているようだ。
というのも、前述した通り、金星は火星よりも遙かに地球に近いため、例えば火星であれば650〜900日の期間が必要なミッションでも、金星であれば440日間で完了できると想定しているためだ。
もしかすると、人類は火星の地表よりも先に、金星の上空にたどり着けるかもしれない。