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2014年もあとすこし。本年も様々なカテゴリにおいて新技術が開発され、新たなトレンドが生まれていった。
カメラ業界においても重要なトピックスがいくつかある。本稿では今後のデジカメ市場にも強い影響を与えるであろうポイントをまとめよう。
*Photo by Travis Wise
1:自撮り棒の普及
スマートフォンの画質向上と共に、ロープライスなコンパクトデジタルカメラの市場が壊滅状態にあるが、その勢いをさらに加速させるアイテムが自撮り棒だ。
インカメラを持つスマートフォン、そしてリモコンの組み合わせで、いつでも自分の写真を撮ることができるこの軽量な一脚がアジア圏で数年前から大ヒット。日本でも多くのプロダクツが輸入されるようになった2014年から使用するユーザーが激増した。
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昨今の自撮りブームは、カシオが2011年にリリースしたフリースタイルデジカメEX-TR100が生んだという説がある。日本ではパッとしなかったプロダクツだが、海外ではSNSの普及と共に多くのユーザーから高く評価される。しかし高価だったこともあり、スマートフォンで同じような写真が撮影できる軽量な一脚に注目が集まっていった。
スマートフォンを自分で持ちながら撮影すると、使われているレンズの画角から顔ばかりが大きく写ってしまう。しかし自撮り棒を使えばバストアップな写真が簡単に撮影できるし、ハイアングル・ローアングルの撮影も手軽に行える。
また高画質なアウトカメラを使えるようにする、鏡付きの自撮り棒も増えてきている。
2:超々高感度撮影を可能にしたソニーα7s
最高感度がISO409600という、暗闇ですら真昼のような明るさで撮影できるフルサイズミラーレスα7sのデビューには、多くの人に強い衝撃を与えた。
センサーサイズが大きければ大きいほど高感度に強い、しかしデジタル技術の進化により、小さいサイズのセンサーを用いたデジカメでも、数年前に発売された数十万円のフルサイズデジカメに肩を並べるほど暗部撮影性能が高まってきた…という風潮があった本年、ソニーはα7sでその差を今まで以上に広げてきた。
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高画素化が進むトレンドに逆らって、1,200万画素というスペックであったことも衝撃だった。この低画素なフルサイズセンサーがあってこそのISO409600なのだろう。
3:パナソニックがプッシュする4K動画が撮影できるデジカメ
4Kテレビやパソコン用4Kディスプレイの実勢価格が下がってきたタイミングを見越していたのだろうか。パナソニックはLUMIX DMC-FZ1000、DMC-LX100、DMC-GH4という、3台の4K動画撮影・記録機能付きデジカメを次々とリリースした。
秒間30コマではあるが、2015年には他社も追従することは確実。いち早く市場を作ったパナソニックの英断は快挙といえよう。
4:1インチセンサー搭載スマートフォン・パナソニックLUMIX CM1
低価格帯のコンデジにかわる新たな市場を形成しつつあるのが、1インチセンサーを用いた高級コンデジたちだ。2014年に発売されたモデルもソニーDSC-RX100M3、パナソニックDMC-FZ1000、キヤノンPowerShot G7 X、ライカV-LUX Typ 114と実力派ばかりで評価も高い。
しかし4K撮影機能に続いてパナソニックは、1インチセンサーをスマートフォンに搭載するという驚愕の一手を打ってきた。iPhoneや各種Android端末の画質が向上してきたとはいえ、このLUMIX CM1の画質は次元が違う。一眼カメラに匹敵するほどのクオリティの写真を撮影後すぐSNSなどで公開できるシステムはまさに最先端。
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日本発売はまだ未定だが、2014年モデルながら2015年の台風の目となることは間違いないだろう。
5:Eyefiクラウドから窺える新たな写真ビジネス
無線LAN機能を内蔵したSDカード、Eyefi。ワイヤレスで撮影した画像をスマートフォンやPCに送信できるガジェットだが、昨今はWi-Fi機能を搭載するデジカメが増えてきており、存在感が薄れてきた。そんな2014年に彼らがリリースしたサービスがEyefiクラウドだ。当初はEyefiカードを用いて撮影した画像をオンラインストレージにストックできるサービスだったが、アプリケーションのアップデートと共にスマートフォンで撮影した画像もクラウドに保存できるようになった。
複数のデジカメ、スマートフォンで撮影した画像を一元的に管理できるほか、レンズの焦点距離、シャッタースピード、絞り値といったEXIFデータもブラウザ上で参照できる、フォトブックサービスと連動するなど、写真好きが欲しがる機能をまとめてきている。利用料金は5000円/年と決して安価ではないが、保存容量は無制限でアップロード・ダウンロードのレスポンスも上々。ユーザーからの評価も高い。
以上、5つをピックアップしてみた。
直接のハードウェアの進化も著しかったが、サードパーティのサービスも充実してきた。市場全体は落ち込みつつあるが、成熟してきたという印象も受けた2014年だったといえる。