「18の約束」に学ぶLINEいじめから我が子を救う対処法

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2015年01月07日 17:00  JIJICO

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全米で話題、スマホを使うときの「18の約束」


アメリカのある母親が、13歳の息子へクリスマスプレゼントにスマホを贈ったことが全米で話題となりました。というのも、その母親は、スマホの入った箱に「(スマホを使うときの)18の約束」という「手作りの使用契約書」を入れてプレゼントしたのです。


日本でも子どもたちの間で「LINEいじめ」が問題となっており、スマホの使い方を含め、様々な対処法が報じられています。それらを見ると、「(1)予防と対策」「(2)理解と教育」「(3)問題が生じたら」にまとめることができます。


スマホ利用に時間制限を設けることは管理一辺倒の対策ではない


(1)予防と対策
「18の約束」の中に「学校のある日には午後7時30分に、休日は午後9時にママかパパにスマホを渡しなさい」という文章があります。日本でも愛知県刈谷市のように「午後9時以降は携帯・スマホ禁止」というような時間制限を設ける市町村は増えてきています。


これは必ずしも管理一辺倒の対策ではありません。中には、LINEの会話を切りたくても言い出せない子どももおり、この制限を理由に会話を中断することができて助かるという声も聞きます。


また、親子でスマホを共有することでLINEいじめを監視することもできます。有害サイトの「フィルタリング」や、いじめの危険性が高い単語を自動検索して保護者にメールで知らせてくれる無料アプリもあるため、活用しましょう。


いじめの予防にもつながる使用ルールを設け、機器の設定を工夫することは、実行できる最初の対策です。もちろん今からでも遅くはありません。


親がいじめの実態を知り、子どもにネットマナーを教える


(2)理解と教育
次に「LINEいじめの実態」について、親子で理解を深めることが大切です。LINEいじめの具体的なやり取りを架空に再現したサイト「チャットログ」や、LINEいじめの相談サイトもあります。まず親がいじめの実態を知り、その上で子どもにLINEを使う上での注意点や具体的な対策を教えましょう(詳しくは「LINE安心安全ガイド」というサイト等を参照)。


また、前述の「18の約束」では「人に面と向かって言えないこと」や「友だちの両親の前で言えないこと」をメールしないよう自己規制することを促し、加害者になる可能性もあることを教えています。やはり子どもにネットマナーを教えることは必要でしょう。


さらに、何気なくアップした写真の背景やGPS情報などから、住所や氏名等の個人情報がネットに流出しまうことがあります。くれぐれも個人情報や写真を簡単にアップしないよう危険性を理解させ、機器の設定も変更させましょう。


LINEいじめは刑法上の犯罪に。迷わず学校や警察へ通報


(3)問題が生じたら
最近の悪質化したいじめを考えると法的な規制対策を準備しておくことも必要です。文科省は警察へ相談・通報すべきいじめについての通達の中で「学校において生じる可能性がある犯罪行為等」について具体的な内容を示しました。LINEいじめは「強要」「脅迫」「名誉棄損」「侮蔑」等の刑法上の犯罪に結びつくことが考えられます。


万が一の事態を考えて、LINEのトーク履歴をスクリーンショットやバックアップ機能を使って保存しておきましょう。そして、もし子どもがそのような事態に追い込まれた時は、その履歴を持って迷わず学校や警察へ通報してください。


困った時には大人に相談できる「生身の関係」を作れるかどうか


以上のような対策を親子で話し合い、納得して取り組むこと、そして決められたルールは毅然として守らせ、何より、困った時には大人に相談できる「生身の関係」を作りたいものです。LINEのつながり以上の「豊かな生身のつながり」を子どもたちに提供できるか、答えは大人の側にあるのかもしれません。


「18の約束」では、最後の約束として、母親は次のように息子に語りかけます。


「18.問題が生じた時は、スマホを没収します。そして一緒にそのことについて話し合い、またやり直しましょう。あなたと私はいつも何かを学んでいる。私はあなたのチームメイトです。一緒に答えを出していきましょう」



(岸井 謙児・臨床心理士・スクールカウンセラー)

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