インドネシアを「LEDランタン」で照らすパナソニックの挑戦

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2015年01月09日 21:50  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

デザインやアートの力を使って、無電化地域の闇夜を照らそう。

パナソニックは同社の100周年を迎える2018年に向けて、世界規模で『ソーラーランタンを10万台プロジェクト』を展開している。

その一環として現在デザインの募集が行われているのが、切り絵によるLEDソーラーランタン・プロジェクト『Cut Out the Darkness』だ。

多くの人を巻き込んで、楽しく、明るくしよう

ただ夜を“明るく”するだけではなく、作る人も、届ける人も、使う人も、そしてこのキャンペーンを目にする人たちをも巻き込みながら、無電化地域の夜を楽しく、明るくしようという試みだ。

世界中のクリエイターが作品発表の場として利用するプラットフォーム『Behance』とパナソニックによるこの合同プロジェクトは、2014年に始まった。

昨年は世界の著名切り絵作家とのコラボによるランタン作品をインドネシアの無電化地域へ届け、2015年1月は『Lantern’Zoo〜光の動物園』と題したキャンペーンが行われている。

動物をモチーフにしたデザインをプロ・アマ問わず広く募集し、投票による上位入賞作品は製品化され、無電化地域へ届けられる予定だ。


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インドネシアをはじめ、途上国では電気を自由に使えない地域がまだまだ多く、夜間の照明は灯油ランプや薪が使われる。

ただでさえ貧しい家計のなかから灯油代を工面したり、毎日長時間の薪集めをすることは、これらの地域の人々に経済的なハンデキャップを科すことになっている。

また、夜間に満足な明かりがないと、仕事や勉強の時間にも制約が生まれる。昼間の明るい内は家の手伝いをしていることの多い子供たちにとって、夜間に勉強ができたらどれだけ助かるだろうか。

さらに、粗悪な灯油や薪の使用は健康被害を招き、それが原因で日々多くの人々が命を落としている。また、森林伐採も深刻な問題だ。無電化地域へLEDソーラーランタンを届けることは、様々な意義があることだといえるだろう。

パナソニックの戦略

パナソニックがインドネシアでLEDソーラーランタンを無電化地域に届けることは、ただの企業CSR活動のためだけではない。同社の重要なアジア・ビジネス戦略の一翼を担っている一面もある。

パナソニックの創業100周年にあたる2018年には、インドネシアの照明機器の市場規模が1,200億円に達すると見込まれる。同社はLEDのシェア10%獲得を目標とし、照明分野の海外事業でインドネシアを重要拠点とする方針だ。製品を現地生産し、現在の3%という海外売上高におけるインドネシアが占める割合を、10%にまで引き上げるという。

また、多くの離島や僻地を抱えるインドネシアにとって、LEDと簡易自家発電システムの普及は、国家運営においても重要な意味を持つ。インドネシアのライフラインや災害対策は、大都市部においてさえ万全とはいえず、多くの地方では大災害が起きるとすぐさま社会機能は混乱し、文字通り孤島と化す。

10年前のスマトラ沖大地震の記憶もまだ新しいインドネシアは、地震や津波、火山の噴火が定期的に発生する大災害多発地帯だ。そして多民族・多宗教国家でもある。政府は常に辺境地域における分離独立運動に頭を悩ませてきた歴史をもつ。大災害での適切な対応は、国家安定の根幹ともいえる。

そこでインドネシア政府はパナソニックに協力を仰ぎ、大災害時における初動救助や復旧活動が迅速に行えるためのシステム作りに着手した。


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これまでの大災害時の豊富なデータとノウハウを持つ日本企業パナソニックが、電力網壊滅下における電力確保、指令センターや避難所の迅速な設置、真水の供給や屋外インフラの簡易復旧システムなど、インドネシア全土に向けて災害対策システム全般を構築する。

そして、離島や僻地に多くのLEDライトや簡易自家発電装置があることが、救助や復旧活動を大きく助けることになるだろう。その結果、多くの命が失われずにすむことになるに違いない。

インドネシアに息づく松下イズム

インドネシアでのパナソニックの活動を後押しするのは、昨年のジョコウィ政権誕生で新しく貿易相となったラフマット・ゴーベル氏だ。

松下電器創業者である松下幸之助の薫陶を受けた父モハマド氏が築いた松下電器との合弁会社を引き継ぎ、現在パナソニック・ゴーベル・インターナショナルグループの会長も務める。

日本の中央大学で学び、松下電器大阪本社に勤務した経験を持つラフマット氏は、日本の技術やノウハウがインドネシアにとって非常に重要であることを、身をもって理解している。大災害に立ち向かうことが、国家インドネシアの宿命であり、また未来への生命線であることも。

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様々な模様が浮かぶ、ほんの小さな明かりではあるが、その光が照らすものは果てしなく大きい。それはインドネシアの未来を約束する光でもあるのだ。

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