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写真はすっかりフィルムからデジタルに移行した。デジタル写真は複製も容易だし、インターネット経由での共有も簡単だし、大きな画面で見ることもできるし、フィルム時代に比べて圧倒的に便利だといってもいいだろう。
しかし、紙のプリント写真にも、デジタルデータにはない魅力が残っていないだろうか? それも、外出先で撮ってその場でプリントできるとしたら?
ポケットに入るサイズ感
そんなポータブルデバイスを、かつてインスタントカメラで有名だったポラロイド社が発表した。ポケットに入るサイズのプリンターで、Bluetoothで通信することでスマートフォンやタブレットから送信した写真をその場ですぐにプリントできる。
『ポラロイドZIPモバイルプリンター』と名づけられたこの製品、iOSにもAndroidにも対応する。重量は186gのため、持ち運びは容易だ。サイズは約7.4×12cm。このサイズから想像できるかもしれないが、プリントされる写真のサイズは、いわゆるL判より小さくなる。プリントサイズは約5×7.6cmだ。
インク不要でプリントできる
本体の操作ボタンは電源くらいのもので、あとは無料の専用アプリを介して操作する。写真は、フィルターをかけたり、画質を調整したり、スタンプや絵文字やフレームを加えるなどの編集をしてからプリントすることができる。
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なお、このプリンターはいわゆるインクは使用していない。『ZINK Zero Ink® Printing』という技術が使われているのだが、これは紙の側に、シアン(青)とイエロー(黄)とマゼンタ(赤)の染料の結晶が配置され、保護ポリマーのコーティングで守られている。
プリント前はただの白い紙に見えるが、熱を加えることでその結晶を活性化させ、発色させ、フルカラーで高画質な、耐久性の優れた写真を実現するのだという。この技術のおかげで、この『ポラロイドZIPモバイルプリンター』は、インクカートリッジもリボンもトナーも必要とせずに、写真のプリントを可能にしているのだ。
![Polaroid_Printer05](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/01/Polaroid_Printer05.jpg)
ポラロイド社のスコット・W・ハーディ社長兼CEOは、自社のウェブサイトでこう語っている。
「常にわれわれが持ち歩いているスマートフォンは、人生の大切な瞬間を記録できる重要なデバイスになっています。また、写真はソーシャル・ネットワークにアップロードされ、デジタル的に他者とシェアできるものになっています。一方で、“物質的な”写真を人に見せたり、シェアしたりというニーズはなくならないと思うのです」
たとえば、店頭やイベント会場で撮った写真をプリントして来場者にすぐ渡すというような用途では便利だろう。しかし、一般ユーザーはこのプリンターをどうとらえるだろうか?
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「紙の写真をシェアしたい」という欲求は、フィルム時代の名残なのか、それともデジタル世代にも共通する感覚なのだろうか、いまのところまだ人生の半分以上がフィルム時代だった私には判断がつきかねる。
『ポラロイドZIPモバイルプリンター』はこの春129.99ドルで発売予定だというが、この製品がヒットするかどうかで、それもわかるかもしれない。