医療のウェアラブル化で「心臓」がなくても帰宅できる

一見すると、（本来の）心臓がない人のようには思えない。たしかにチューブでつながってはいるものの、ごく普通の健康な状態にさえ見える。

ミシガン大学ヘルスシステムが公開したYouTube動画に写る男性、同機関のウェブサイトによれば、『フリーダム・ドライバー』というバックパックサイズの駆動装置を使った人工心臓をつけているのだ。

心不全でも自宅に帰れる

患者である24歳のスタン・ラーキンさんは、末期の両室不全（心不全）で、心臓移植を待っている。だが、この約5.9kgの装置のおかげで、クリスマスを家族と過ごすために帰宅することができた。本来の心臓がない患者が病院を離れるのは、少なくともミシガンでは初めてのケースだそうだ。

ラーキンさんが使っているのは、『SynCardia』というメーカーの『フリーダム・ドライバー』という一時使用のための人工心臓。

彼は心臓移植待ちのリストに入っていて、適した心臓が提供され次第移植手術を受けることになっている。しかし、それまでは彼は家にいて、それなりに活動しつつ、手術のときのために体力を維持することができる。

駆動ユニットは大幅に小型化された

人工心臓をつけているため、彼の身体からは2本のチューブが出ていて、駆動装置につながっている。そのチューブから送り込まれる圧縮空気が人工心臓の心室を動かし、血液を体中に送り出すという仕組みだ。

この『フリーダム・ドライバー』以前にFDA（アメリカ食品医薬品局）に認可された駆動装置は、洗濯機ほどの大きさで190kgもの重さのある『ビッグ・ブルー』というものだった。当然簡単に移動できるものではない。移植のための臓器は不足気味のため、人工心臓をつけて移植を待つ患者は何ヶ月も、ときには1年以上も、病院に閉じこもらざるをえなかった。

しかし、『フリーダム・ドライバー』は『ビッグ・ブルー』と同じ機能をもちながらポータブルなサイズにまで小型化されたのだ。

患者であるラーキンさんは「これは僕を自由にしてくれる装置です。僕はただ移植を待つだけなんて耐えられない。だから、この装置のおかげで完全に自分を取り戻した気がします」とコメントしている。

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