大工といえば、重い丸太や鉄骨をひょいっと持ち上げたり、高いところでも軽々と作業したりするイメージがある。そしてよく見ると、耳に鉛筆を引っ掛けていることも。
豪快な仕事のなかでも、何かしらの細かなメモやサインが必要なのだろう。だが、高い場所での作業中に仕事道具から鉛筆に持ち替えるのはそれなりに危険が伴うはずだ。
そんななか、富士通が“鉛筆を耳に引っ掛けた大工”の姿をなくしてしまうかもしれないデバイスを開発してしまった。
空中での一筆書きで文字入力が可能に
富士通が開発したのは、手書き入力機能とNFC(近距離無線通信)タグリーダを備えた指輪型のデバイス。近頃開発が盛んなウェアラブルデバイスのなかでも、腕時計、メガネに次いで注目されているタイプだ。
同社は当初、現場での作業を中断しなくても済むよう、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)タイプのものを開発していた。しかし、HMDではハンズフリー状態での情報閲覧には適しているが、呼び出した情報の選択や現場の状況をメモするといった付随作業が難しいという課題が残る。
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そこで考えられたのが、空中での手書き入力認識と、書いた内容を別端末に転送するNFCを備えたコンパクトな指輪タイプの端末である。
注目したいのは、端末に組み込まれたモーションセンサーが空中で動く指先の運動を検出し、その軌道を文字として認識する技術。通常、文字には線の“書き始め”と“書き終わり”があるため、空中で指を動かすとその線のスタートと終わりの区別がつかない。
そこで、一筆書きの筆跡から不要な部分と必要な部分を自動で認識し、筆跡データを補正する技術を開発。何も手に持たなくとも、そのままメモが残せるようになる。
2015年度以降は指輪型がメインに
同様の端末だと、昨年一般発売が開始された『Ring』が有名だが、こちらの富士通のデバイスは主に現場での作業を想定し開発したそう。今後は実際に現場でのテストを行い、2015年中の実用化を目指しているそうだ。
工事現場での利便性や安全性が証明されれば、指輪型デバイスの注目度も一気に上がるかもしれない。
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PCのポインタを動かす、ファイルを開く、ドラッグ&ドロップ、選択からコピ−&ペースト、他にもテレビやエアコンのリモコン、ドアのロックといった行為は、当たり前ながら指を使う。つまり、指輪型デバイスの可能性は大いにあるのではないだろうか。