働く人のうつ病、マンガを使った認知行動療法eラーニングで1/5に

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2015年01月28日 12:00  QLife(キューライフ)

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QLife(キューライフ)

関心を集めるうつ病の未然防止

 近年、仕事でストレスや不安を抱えている人の数は増加傾向にあり、うつ病など心の病が社会問題となっています。こうしたメンタルヘルスの不調を訴える従業員たちには、相談の対応や職場復帰の支援など、さまざまな対策が講じられてきましたが、最近では予防(未然防止)への関心が高まっています。

 そこで今回開発されたのが、認知行動療法※によるストレスマネジメントのeラーニングプログラムです。特徴的なのは、認知行動療法に基づくストレス対処法を、マンガで提供しているということ。開発したのは、東京大学大学院医学系の研究グループです。パソコンや携帯電話などの情報通信機器を使って学習を行うeラーニングを活用することで、多くの人に安価で気軽に認知行動療法を受講してもらうことを目的としています。

※認知行動療法とは・・・物の考え方や受け取り方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にしたり、行動をコントロールしたりする精神療法。これまでの研究から、うつ病のリスクを30%程度減少させるという報告もよせられています。

毎週1回全6回、30分程度のプログラムで発症率が低下

 このインターネット認知行動療法(iCBT)eラーニングプログラムは全6回で、毎週1回、講義と宿題の時間を合わせても30分程度のプログラムです。また、宿題の提出は任意で、提出した場合は臨床心理士からのコメントをもらえるというものです。

 研究グループは、このiCBTのうつ病予防効果を調べるため、 IT系企業の社員762人を、先にiCBTを受講する「介入群」と、調査期間後に受講する「対照群」に無作為に分けて比較検討しました。その結果、介入群は対照群に比べて1年間のうつ病発症率が1/5に減少することが示唆されました。研究チームはこれらの結果から、32人の従業員がiCBTプログラムを受講すれば、そのうちの1名のうつ病発症を予防できると推測されると述べています。

 1対1の対面や集団で行われる認知行動療法は、効果があるもののコストが高く、大勢の従業員への提供は困難でした。受講しやすいこのeラーニングによって、働く人の心の健康がより向上していくことが期待されます。(笹田久美子)

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