「INKT」独占ロングインタビュー後編『Trigger』制作秘話も

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2015年01月28日 18:22  gooランキング

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前編では念願のファンミーティングの様子を中心に語ってくれたINKT。後編では、約一年の月日をかけて作られたアルバム『INKT』の制作秘話やINKTの今後に迫った。


■夏の思い出はスタジオ…無我夢中で取り組んだ制作期間

――アルバムをリリースするまでの一年間はどんな生活を送っていましたか?
KOKI:もうひたすらレコーディングしてました。
Kei:打ち合わせして曲を作って、持ち寄って音出して、レコーディングして完成。じゃあ次の曲の打ち合わせに入って……ってその繰り返しをずっと。
KOKI:週1〜2、3はずっと一緒にいたし。夏なんてスタジオの記憶くらいしかないくらい。
Kei:逆に完成したあと、ちょっと空きがあって寂しくなったよね。

KOKI:一番はじめの、INKTの名刺みたいなアルバムを作っていたので、いい意味で時間をかけつつ、詰めるところ詰めつつという感じで作っていました。
Kei: ずっとやりたかったことなので、時間とかを気にせず。ひたすらアイデアを出しては形にして……の繰り返しだったので、俺ら的にはあっという間の楽しい時間でした。
KOKI:アルバム作りながら、バンド名どうするかという打ち合わせをしたり。

――バンド名はどんなふうに決定したのですか?
KOKI:みんなで持ち寄ったんですけど、その中でもSASSYのアイデアだったんです。
SASSY:字面と響きだけで持ってきて。そのあとに『INKT』の持つ意味が「塗料」なので、色のイメージがしやすくて。
5人が歩んできたこれまでの土壌とか個性もあるし、それを合わせたら見たことのない色になるんじゃないかなと。後付ですけど、バンドの個性に合っているなと思いました。
KOKI:あ、声を大にしていいたいのは「インクト」じゃないってことですね。「デビューしたんだねインクト」(といわれて)んっと…どこで訂正しようかって(笑)

――アルバムをリリースした今、楽曲制作に対して心境の変化はありましたか?
mACKAz:みんなの中にぼんやりある方向性というか、それぞれ土壌も違うし、好きなジャンルも違う人たちなのでいろんな色があるんですけど、INKTとしての骨組みはぼんやり持ちつつあるのかなと思いますね。

SASSY:一枚作ってみて、それぞれの色をこのメンバーで形にするとINKTになるんだなという自信はつきました。だから変にこうあるべきみたいなものはなくて、本当に自分の中にあるものを素直に出したほうがINKTとして映えるのかなと思いました。

KOKI:INKTの方向性を言葉にするのが難しくて。各々が一番カッコイイスタイルや、やり方、向き合い方で生まれてきたもの、溢れてくるものがそのINKTとしての形なのかな。アルバムを出してファンミーティングをやったいま、ライブのリハや曲を作っていく上でそう感じています。

■意外なところで生まれた『Trigger』制作秘話

――制作中は苦しい場面に直面することもあるかと思いますが、どのように乗り越えていますか?
KOKI:人それぞれのタイミングでありますね。でも全員一緒に沈むことはないのかなって気がします。誰かが生きているから、意外と大丈夫ですね。

kissy:やはりゼロから1にする作業が一番しんどいですよね。ノリ出したらそのまま滑っていけますが、次はどんな曲つくろうかとか、どんな雰囲気の曲にしようとか、思ったときのアイデアから音にするまでが一番辛いです。傍からみれば何もやってない状態ですし……。
KOKI:でも家では死にそうになってるんだよね。
mACKAz:パソコン電源入れて、はぁ……どうしようって。

Kei:そこから脱却するやり方はそれぞれ違うよね。kissyは頭の中で完成するまで作業しないから、それこそ遊んでいるようにしか見えないし(笑)
kissy:だからよく飲んでると思われています。
Kei:kissyはほんと天才なんですよ!でもよく記事でカットされるんで(笑)
――今回は書きましょう
mACKAz:『浪速のモーツァルト』って。
Kei:いるよ、もうその先生が一人いらっしゃるから(笑)

――SASSYさんはアイデアが降りてくるタイプだそうですが
SASSY:そういうモチベーションがあがる出来事とか、ライブ観に行ったりとか。普通に制作のことから離れて、ドラムの個人練習で急に閃いたりします。普段のサイクルとちょっと違う刺激があると出てきやすいですね。

――KOKIさんはいかがでしょうか
KOKI: 書きながら世界観に入り込んだりしちゃうので、救いようのない絶望的な歌詞を書いていると、世界中に俺ひとりしかいないくらいの気持ちになっちゃう時もあるのでそれはきつかったですね。
Key:性格が出るねぇ。

mACKAz:俺はちょっと追い込まれないとスイッチがはいらないというか。今日は時間あるから書こうとしても結局、YouTubeを見て刺激は受けるんですけどインプットしかしてない。でも、そういえば風呂に入っているときとかは浮かびやすかったりします。風呂、トイレ、食器洗い。

――水が流れる場所ですね
Kei:滝にでも打たれたら溢れでるんじゃない?
mACKAz:滝打たれたらiPhoneで録音できないですよ(笑)。
Kei:その時はちょっと出ようよ(笑)

Kei:僕はkissyみたいに頭の中でつくることができなくて、ちょっといいなと思ったことを作りはじめちゃって、次のアイデアで塗り替えて。それを聞いてまた別のアイデアが出てきて、違うものになる。頭の中では完成しないタイプですね。ベースの音を聞いて「なんか違う」という、その「違う」の積み重ねでひらめいたものを使って別の曲を作るスタイルですね。ロジックがないのでちょっと大変です。
KOKI:不器用なバンドなんで(笑)
Kei:駅のホームで思いついたこともありました。SASSYと二人で帰ってるときだったので先に帰ってもらって、そのままホームで歌ってiPhoneに録音しました。でもアイデアの半分くらいは電車の音にかき消されちゃって……。

kissy:そういえば『Trigger』のBメロは駅で出たんですよ。
KOKI:出た、浪速のバッハ!
kissy:品川駅で新幹線を待ってる合間に。ちょうど『Trigger』作ってる時期で、待ってるときにBメロどうしよっかな……うーんこれでいっかって。
KOKI:そんな感じでつくったの!? 初のリードを「これでいっか」って!
Kei:でもそれが思いついたときはすでにAメロとサビはある程度完成しているんでしょ?

kissy:その時はもうすでにある程度曲ができていて。Bメロだけがなくて早く作らないと間に合わない時期で。いつもは家で作るんですけど、この時ばかりは歩きながら考えて「よし、これで行こう」と。
Kei:kissyにもそういう時もあるんだね〜。行き詰まったら品川駅だね。


■「ステージに立ってなんぼ!」INKTが考えている今後のこと

――最後に2015年の目標についてお聞かせください
Kei:元々仲の良いバンドではあるんですけど、もっと絆を深めたいなと思っています。喧嘩もなく、お互いにリスペクトしあっている順風満帆なバンド関係なんですけど、もっと深いところまで話し合える仲になって、まだ知らない面をお互いがわかり合って。もっと上を目指すためにも、今よりもさらに裸の音楽を作れるようにと思っていますね。

KOKI:このあいだ決起集会として、メンバーで3〜4時間ご飯食べたんですけど一切音楽の話しが出なかった。
Kei:ご飯、ゲーム、マンガ、アニメ……。
KOKI:で、最後の〆に音楽の話しをするという。〆の雑炊みたいに。元々、友達の期間が長かったこともあるし、それが逆に楽しいなとも思います。ずっと音楽の話をしてて詰まっちゃうのも嫌ですし。合間に音楽の話を挟むのがいいスタンスなのかなと思います。
この間もSASSYと「息の長いバンドにしたいね」って話しをしてて、バーっと売れてサーッといなくなるよりは、ずっといる感じが理想的だなって。

SASSY:おじいちゃんになってもね。
Kei:おじいちゃんになって『Trigger』できるかな?
mACKAz:アコースティックでやるのもいいかも。
KOKI:からだがダルンダルンだろうし、引き金を引けないっていう(笑)
Kei:ひけるかな〜ってヨボヨボで(笑)

KOKI:ただ作詞・作曲して終わるわけではなくて、やっぱりステージに立ってなんぼだと思うので。色々な場所でこのメンツでできることはたくさんあるのかなと思っています。
Kei:真面目に音源作ってる自分たちと、ライブでぶちまけたいっていう、二つの自分たちがいる気がします。その作る部分は十分にやらせてもらったので、あとはアウトプットしたいなと。

Kei:個人的には野音やってみたいんだ!
mACKAz:雨降ると大変よ……。
KOKI:あと炎天下もやばい(笑)
SASSY:沖縄も行きたいですね。
一同:おお!
KOKI:それぞれの出身地に凱旋ライブもいいね。親も観に来れるし。

Kei:ツイッターやファンミーティングを通して全国のいろんな場所で待っていてくれる人たちがいることがわかったので、今度はこちらから会いに行きたい。全国47都道府県ツアーをやるくらいの気持ちで、こちらからも足を運びたいなと。それがいつ実現するかはわかりませんけど、頭の中にはずっとあります。

KOKI:とにかくたくさんライブをしたいっていうのが、メンバーが共通して思っていることですね。一年間まったく周りにも『バンドでアルバム作ってるんだ』と言えない期間があったりもして、フラストレーションがたまっているというか「我慢できない!」という気持ちがすごく強いです。



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INKT 1st Live『the birth of INKT』
【日程】2015年2月21日(土)
【場所】大阪・BIGCAT
【料金】オールスタンディング前売 \5,000〈税込〉
※入場の際別途1Drink¥600がかかります。
※小学生以上有料/未就学児童無料

◇チケット一般発売日◇
開始日時:2015年1月31日(土)AM10:00〜

《編集後記》

1月18日(日)、『INKT』のタオルを首にかけた人々が行き交う道玄坂。TSUTAYA O−WEST周辺はINKTのファンで溢れていた。この日、初のワンマンライブ『the birth of INKT』を行ったINKT。チケットは『SOLD OUT』の文字。それは会場周辺を見渡せば一目瞭然だった。

約600人がひしめき合う会場は、スタート前から熱気に満ちていた。“誕生”を彷彿とさせる音と光の演出に続いて、INKTがステージに立った。『Trigger』を皮切りに『45'』、『A Whole New World』とハードなナンバーでファンを魅了していく。悲鳴に近い歓声、涙……熱狂は様々な形で入り乱れた。

時折、体を前に倒したり片膝をついたりしながらシャウトするKOKI、激しく体を揺らして奏でるメンバー。それはこれまでの鬱憤を晴らすかのようで、ライブはおろかバンドの存在をも口にできなかったというエピソードと重なる。

いつだって初めてすることには多少なりとも緊張が伴う。それは来場者も同じである。しかしそれを疑うほどの熟練した音に身を委ね、INKTとオーディエンスはファーストライブとは思えないほどの一体感を共有していた。オーディエンスからはメンバーの名前を呼ぶ声が飛び交った。

本編終了後も止まない“INKT”コールを受けて再び登場した5人。ギリギリのトークで会場を沸かせ、『Nobody knows』を情熱たっぷりに届けた。ラストはこの日2度目となる『Trigger』。1曲目とはまた違う、凄まじい熱気をまとっていたのが印象深い。汗を拭う間もなく、メンバーは出口に立ちハイタッチでファンを見送った。

ライブとはミュージシャンの真価が問われる場と言われる。KOKIの扇動で熱を帯びていったオーディエンス。その上がり続ける腕は、ファーストアルバム「INKT」がライブを意図して作られたアルバムであることを何より証明していた。

今年でミュージシャンとしてデビュー10周年を迎えるSASSYとmACKAzをはじめ、KOKI、kei、kissyがこれまでに磨き上げてきた技術で奏でる音楽はさらなる飛躍を予感させた。


(取材・文/いまトピ編集部 田幸、撮影/いまトピ編集部 吉永)





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