独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターによると、癌の死亡率は1985年から2011年にかけて、約2倍になっている。
そして癌の治療は早期発見が鍵となる、ということもわかってはいる人は多いが、日々の忙しさや検査に掛かる費用・時間を考えると、なかなか腰は重い。
しかし、僅かな血液から1時間程度で癌の可能性を検査できる装置があればどうだろう。
低コストで短時間の癌検査装置
Miroculusが3Dプリンターで試作機を開発しているこの装置は、血液サンプルから僅か1時間で、癌やその他の病気の可能性を検査できる装置だ。まだ検査コストは示されていないが、恐らく低コストで癌検査を可能にする見込みだ。
被験者から採取した血液を、独自に開発した96の穴が開けられたプレートにセットする。
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このプレートを装置に入れて60分もすると、検査は終了だ。
実はこのプレートの穴には予め特殊な試薬が注入されている。この試薬が、血液中のmicroRNAを検出すると、その血液サンプルが緑色に光るという。
このプレートの、穴ごとの変化を装置が検出して、装置にセットされたユーザーのスマートフォンに送信する。
ここが特許を取得した仕組みで、これまでのような高価な検査装置を必要とせずにmicroRNAを検出することができるようになる。
このmicroRNAは、がん細胞の増殖に係わっており、癌のバイオマーカーたり得る存在だというのだ。装置はmicroRNAの検出状態をリアルタイムで分析し、癌を示すパターンが出ていないかを解析する。
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早期発見の機会を増やす
血液の解析結果はクラウドにも送信されることにより、データが蓄積される。蓄積されたデータは、被験者の体調変化の追跡だけでなく、治療の開発などにも活用されるようだ。
また、Miroculusの装置が検査するのは癌だけでなく、他の病気や薬の効果についても調べることにも利用できる。これまで専門病院で高い費用と時間をかけて行わなければならなかった癌検査が、この装置で安価に僅か1時間で検査できるようになるかもしれない。
そうなれば、これまで腰が重かった人たちも、気軽に癌検査を受けれるようになるのではないだろうか。その結果、癌の早期発見率が上がり、死亡率が下がっていくかもしれない。