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最近、若手女性の社会起業家の活躍がめざましい。
『Over the Rainbow』を主宰する佐野里佳子さん(28)もそんな起業家の一人だ。自身と同年代の女の子に向けてファッションを通じた社会問題の啓発を行っている。
ファッションを通じて社会問題を“自分ごと化”する
『Over The Rainbow』は、世界から集めたビンテージの洋服にその持ち主が抱える問題や、身の回りの社会問題に取り組む女の子のストーリータグを付けて販売している。
かわいい洋服を通じて、同世代の女の子が抱える社会問題を知り、「自分にとって身近なこと」だと捉えてもらうことがひとつのねらいだ。
例えば、下記写真のワンピースの持ち主、ELENAは自分が働く店の常連が乳がんになったことを知り、フラワーアレンジメントの手作りキットを届けて闘病のストレスを軽くする取り組みを行っている。好評を受けて、その後ELENAは地域のがん患者に向け同様の活動を展開しているという。
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![IMG_6476_3](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/01/IMG_6476_3.jpg)
このような個人のソーシャルアクションを紹介するタグが洋服の一着一着についている。HIVや人種差別など様々な問題が書かれており、社会問題の幅広さに気づかされるが、一個人のストーリーとして描かれているため、共感しやすいものとなっている。
洋服の販売だけではなく、企業や行政とコラボレーションし、貧困問題や農業など社会課題に関するプロジェクトも複数展開している。
自身の経験から問題をわかってもらう難しさを痛感
実は、佐野さん自身も『もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)』という難病を抱えている。もやもや病は脳の血管が細くなったり詰まるなどして血流量が減る病気で、うまくしゃべれなくなったり、激しい頭痛におそわれたりするなど、生活に支障をきたす。佐野さんも、講演中に立ち続けることが困難になることがあるという。
しかし、この病気は外見に表れないため、なかなか周囲に理解をしてもらいにくかった。同様に、様々な問題を抱えている当事者たちの声はなかなか社会に届きにくい。
そこで、問題と向き合う女の子たちのストーリーを服につけることで社会問題を啓発する現在の取組みを始めた。プロジェクトを支えるメンバー(ガールズ)のなかにも身内に難病を抱える人がいるなど、当事者ならではの本質的な考え方からプロジェクトを展開しているのが同社の強みだ。
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佐野さんは「ビジネスにおける社会的な取り組みに女性のアイディアが必要とされています。『Over the Rainbow』に携わることで、メンバーの意識も変化し、自らプロジェクトを起こす人も出てきました」と女性の社会問題解決の可能性を語る。
![IMG_0856 2](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/01/IMG_0856-2.jpg)
原宿に直営店をオープン! 洋服販売やワークショップ企画も
そんな同社が昨年秋、原宿に直営店をオープンした。
前述の洋服の販売の他、Leeとのコラボレーションで実現した日本の伝統技術である裂き織りの雑貨を作るワークショップなども実施予定だという。また、Leeとのコラボアイテムも2月15日に日本でリリース予定で、その後世界で展開をスタートするそうだ。ファッションの街、原宿で女の子たちの社会意識啓発の拠点になることが期待される。
![overtherainbow](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/overtherainbow1-690x258.jpg)
洋服販売スペースの傍らには、雑貨のデザイン作業スペースも。
![IMG_6480_3](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/01/IMG_6480_3.jpg)
佐野さんは「多くの女の子に“かわいい”と思ってもらえるファッションを入口に、様々な社会問題に気づいてもらえたら嬉しいです。さらにビジネスと女の子のアイディアをつないで、広く世の中に発信していければと考えています」とオープンに当たっての意気込みを熱く語ってくれた。
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社会問題の解決には、いかにその問題を知らない一般層へアプローチするかがカギになってくる。そのスタートとして、多くの人が関心を持つファッションや音楽、映画、食などのテーマを入口にすることも有効な一手なのではないかと思う。今後そうした分野からのソーシャルアクションが広がっていくことは必至だろう。