先生になれる!学校付き「天空のエコリゾート」がバリに誕生

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2015年02月07日 11:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

今や大型リゾートホテルでは、様々な趣向を凝らしたキッズクラブの併設がスタンダードとなっている。親たちは子供を数時間から丸一日預け、日常生活では味わえないゆったりとした時間を過ごす。

そして、ついには学校付きリゾートホテルが誕生した。しかし子供を預けてのんびりするのではない。宿泊客が先生になって学校で子供たちに授業をし、一緒に時間を過ごすことを楽しむリゾートだ。

天空の村

世界でも珍しい学校併設のリゾートホテル『Village above the clouds』は、インドネシア・バリ島の中央山岳地帯、標高3,000フィートに位置する“天空のリゾート”。開発が進む南部ビーチエリアから車で2時間、アートとノマドの街ウブドからも1時間ほど離れた、喧噪とは程遠い世界の中にある。

観光客も滅多に訪れず、ほとんどが自給自足ともいえる生活を送るこの地域で、オーガニックな食にこだわり、環境負荷を最小限に留め、周辺集落の文化に溶け込んだリゾートを目指している。

Village Above the Clouds バリ 天空のリゾート 棚田

“バリの水瓶”ともいわれるブラタン湖から流れる地下水脈がいくつもの川や滝となり、世界文化遺産にも指定された水路と寺院『スバック・システム』によって護られた美しい棚田が、このリゾートの周囲を覆う。

ここでは、近代化の波で失われつつあるバリの原風景を体感することができるだろう。


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Freedom School

『Village Above the Clouds』に併設されている学校の名は『Freedom School』。これは正規の義務教育課程の学校ではなく、周辺集落の子供たちが放課後や休日に通うアフタースクール的な学校だ。

バリ島をはじめインドネシア各地では、子供たちの数に学校数が追いついていない。午前と午後で入れ替え制をとっているところも珍しくなく、公文をはじめアフタースクールも多くあるのだが、中間層にはなかなか手が届かない。

よって職場に子供を連れてくるしかなく、働いている大人の周りで子供たちが遊んでいる光景も日常的だ。夕方以降になると子供を助手席に乗せた“子連れタクシー”も多く走る。

観光業が主要産業であるバリでは、そこに従事する多くの親たちにとって、学校が休みになる日の子供の預け先不足は大きな問題となりつつある。

一方、バリの伝統文化体験や農業体験などのツアーは大盛況。「地元文化と触れ合いたい」というニーズがあるのだから、学校の先生になって「バリの子供と触れ合いたい」というニーズもあるはず……。そして『Freedom School』は開校した。

Village Above the Clouds バリ 学校併設エコリゾート

エコツーリズムの新しい可能性

宿泊客は子供らと大自然の中で遊び、各自の得意分野で授業やワークショップを行う“先生体験”をすることができる。

使用可能言語は英語とインドネシア語。また、周辺集落のゴミ拾いや田植えなどの農作業を一緒に行い、一年を通して数多く行われるバリ・ヒンドゥーの祭りにも参加できる。

バリの美しい風景をただ眺め通り過ぎるだけの傍観者ではなく、一時とはいえバリの美しい文化の当事者となれることは、何物にも代えがたい体験だろう。

子供たちにとっても、様々な文化背景を持つ旅行者たちと授業や遊びを通して触れ合い、そして繋がっていくことは、とても大きな財産となるだろう。

Village Above the Clouds バリ 学校併設エコリゾート ヨガ

朝食付き一泊およそ一万円からのホテル宿泊料金の一部は、自動的に学校へ寄付される仕組みとなっている。さらに、用途・プロジェクト別に寄付することもでき、本や電子機器など物品での寄付もできる。

また、二週間から一か月の長期インターンも可能で、こちらはヴィラではなく一泊千円で学校内で寝泊りする形となっている。子供たちと少し大きめのプロジェクトに挑戦してみたい人や、じっくりバリのローカル文化に浸りたい人、そして、かつて先生になることが夢だった人などには絶好のチャンスだろう。

子供たちと授業やワークショップを楽しみ、一緒に遊びながらバカンスを過ごす学校併設型エコリゾートは、旅行者たちの眠っていたニーズを掘り起こすだけでなく、教育や社会制度に課題を抱える地域にとって一つの解決策になるかもしれない。

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