子どもと一緒に“気まずいシーン”に遭遇したら……

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2015年02月13日 10:01  MAMApicks

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数日前、夫が現在公開中の映画『ANNIE/アニー』(http://www.annie-movie.jp/)を鑑賞しに行った日の出来事。

私もその1週間前に鑑賞していたので、その日の食卓は映画の感想で持ちきり。「面白かったねー」と盛り上がっていたところ、夫が一点だけ不満があると言い出した。

何かと聞いてみると、映画そのものではなく、まもなく公開される『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(http://fiftyshadesmovie.jp/)という映画の予告編が上映前に流れたことだと言うのだ。「ああ、なるほどね」と察しがついた。

この映画、原作が大ヒットした官能小説とのことで、予告編でも結構きわどいシーンが出てくるのだ。アメリカでは17歳以下が鑑賞する場合は保護者の同伴が必要となり、日本では審査の結果、R15+(15歳未満の入場・鑑賞は禁止)という指定を受けた。


夫が「ANNIE」を見に行った日は、家族連れで見に来ているお客さんが多く、「子どもがたくさんいる場であんな映画の予告編を流すなんて間が悪すぎる、親御さんはバツの悪い思いをしただろう。子どもが来そうな回はせめて予告編を編集するくらい配慮があってもいいんじゃないのか」といきり立っていた。

たしかに。R指定を受けている映画なのに、予告編は誰でも見られてしまうってこれいかに。
とはいえ、映画館側もその日ごとに客層を予測して、その都度予告編を切り貼りするのは難しいだろうし、映画のレーティングに関しては性的な表現には限らない上に、セグメントがかなり細かいので、人を殴るシーンがあったらダメ、拳銃が出てきたらダメ、など制限していくとキリがないよなあ、夫の案は現実的ではないよなあ、なんて考えていた。

今はかつてよりテレビも配慮しているので、フラッシュの点滅など事あるごとにテロップが入ったり、映画のテレビ放映でも問題になりそうなシーンはカットされることもある。「そこまでお断りしなきゃいけないの?」と思うこともあるが、クレームやリスク回避なのだろう。「子どもに見せたくない番組ランキング」なんてものもあるくらいだし。

それに比べて、自分の幼少期は自由な番組が多かったな〜、今だと絶対放送できないんだろうな〜、と思い出す。

それだけに、家族でテレビを見ているときに唐突にベッドシーンが出てきたり、はたまたタレントの過激な発言で気まずい雰囲気を味わったことは誰でも何度かあるだろう。

硬直した空気の中、「お茶でもいれようかな」とか「ちょっとトイレ行ってくる」とか席を立つと白々しさ倍増だし、チャンネルをおもむろに変えるのも見え見えのだけど、まったく動じずあっけらかんとできるほどオープンな家庭でもなかった我が実家。あの気まずさもひとつの通過儀礼だったかな、と今となっては思うのだ。

ところが今は自分が親の立場だ。
娘はまだ発語も多くないので、テレビを見ていて感想を言うわけではないし、完全にテレビのチャンネル権は自分にあると思っているので、Eテレ以外のチャンネルをつけると気に入らない様子でリモコンを突きつけてくる。

よって日中、私が自由にテレビを見られる時間はほぼない。
ただ、そのうちペラペラ喋りだすのだろうし、一緒にテレビを見る時間も増えるだろう。そして、あの気まずい瞬間がやってきたとき、どう対処しようか。

女の子だし、からだを大事にしてね、そして自分の身は自分で守るのよ、という思いもこめて、来るべきときが来たらちゃんと性教育はしようと考えている。しかしそれ以前の、まだ性に無自覚な時期にどう対応するのが正しいのか、今はそれを考えている段階だ。


今から10数年前だろうか、テレビ東京系列の『たけしの誰でもピカソ』という番組で、ディズニーのアニメーションについて特集されている回があり、番組のゲストだったミュージシャンの綾戸智恵さんが、「たとえば子どもに性教育について話すときなんかにディズニーの作品ってすごくいいんですよ」とコメントしていた。

その発言を急に思い出すようになったのは、ここ数ヵ月、娘がディズニーアニメのDVDを熱心に鑑賞するようになり、キャラクターの仕草やポーズを頻繁に真似するようになったことがきっかけ。

誰が教えたわけでもないのに、キスシーンまで再現するようになり、「綾戸さんが言ってたこと、もしかして当たってるんじゃないの!?」と膝を打った。

たしかにディズニー作品では、「お姫様は王子様と幸せに暮らしました」とか、「王様とお妃様のところに赤ちゃんが生れました」とか、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールというやつがたくさん描かれている。しかもきわめて王道の。

性教育のモチーフにするにも非常にキャッチーだし、子どもにも受け入れやすいかもな〜、と時間差でうんうんうなずくのだった。


2歳児なので、当然のことながら恋愛とか性を理解しているわけではない。
だけど、夫や私にキスしたときに、ちょっとはにかんだような笑顔を浮かべたり、手で口を隠してみせたりする様子を見ると、何となくだけど、「これは好意を示すもの」みたいに意味が分かっているのかもしれないな、と思うのだ。

保育園に通う娘さんがいる友人は、「3歳くらいになると女の子はもう一人前の女なんだよ〜」とか、「保育園に彼氏がいるよ」と言っているので、女の子はおませさんなんだと感じる。

今年中学生になる娘さんを持つ先輩は、「パパ気持ち悪い!って言われるようになったけど、成長している証だと思うから嬉しいよ」と余裕たっぷりに笑っていた。

今のところ、とてもマイペースでのんびりしている娘もそのうちたどる道なのだろう。

今はまだ子どもを守ってあげられるのは大人しかいないから、悪影響な物に対して意識を張り巡らさなくてはいけない。だけど必要以上に情報を遮断するのも、子どもの成長を阻むことになる。正しい知識を持って欲しいから!と、親が前のめりになりすぎるのもちょっと違う。

子どもの成長って本当に予測がつかないものだよな、と人形同士をキスさせて遊んでいる娘を眺めながら思った。

真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。

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