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運動性能の面においても、燃費の面においても、自動車は軽いほうがいい。しかし、衝突安全性の面から強度を上げようと思うと、ある程度の重さが必要になってくる。
なお、現在のほとんどのクルマのボディは鉄でできている。一部の高性能車にはアルミニウムや繊維強化プラスチックの軽量なボディを持つものもあるが、どうしてもコストが上がってしまう。
けっきょく鉄は地球上でもっとも手に入れやすく、加工しやすい金属なのだ。自動車の車体にはまだまだ鉄が使われることだろう。
浦項工科大学校が新しい鉄合金を開発
その鉄をベースとした合金でありながら、チタン合金よりも強く、それでいてしなやかさも持つという素材を、浦項(ポハン)工科大学校の大学院研究者が科学雑誌『ネイチャー』に発表した。
ちなみに、材料の強度を高めることができれば、そのぶん使用する量を減らせるので、結果として軽量にできる。
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![Pohang_Steel](http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/Pohang_Steel.jpg)
これまで軽量で強度の高い鉄の研究は、鉄にアルミニウムを加える手法が主流だったという。しかし、アルミの含有量が増えると展延性が下がり、材料を加工しづらくなってしまうという問題があった。できれば強度と展延性を両立させたい。
そこで研究者たちは、これまでにない手法を試してみた。まんべんなくB2構造の金属間化合物を散りばめてみたのだ。B2構造は鉄においては伝統的に好ましくない状態だとして知られていた。硬いけれども“もろい”からだ。しかし、この手法は、鉄に強さと転延性の両方を持たせるのに非常に有用だった。
製鉄会社と共同で製品化予定
この方法で、従来の鉄よりもずっと強く、それでいてしなやかな軽い鉄を作ることができた。
研究チームはPOSCO(韓国の製鉄会社)と協力して、今年中にも新しい製品を作る計画を立てている。これを自動車のボディなどに採用できれば、強度を保ちながら軽量化することができ、さらなる低燃費化が実現する。
近年の円安傾向の影響で、韓国の輸出産業は低迷しているようだが、近い将来、このイノベーションが韓国経済の手助けになっていくかもしれない。また、これによって韓国車の競争力が上がれば、日本の自動車産業にとってはまた新たな脅威になることも考えられる。
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ただ、いずれにしろ将来の自動車の燃費性能の向上には大いに期待したい。