バリに学ぶ「バンブーハウス」が秘める無限の可能性

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2015年02月15日 17:40  FUTURUS

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FUTURUS

FUTURUS(フトゥールス)

インドネシア・バリ島に次々と建設されるリゾートホテル。その多くは旧植民地時代に宗主国の白人たちが使用していたようなコロニアル様式の建物であったり、エスニック感あふれる東南アジア風のヴィラが主流だ。

しかし、現在もう一つの新しい流れが生まれつつある。それはコロニアル様式でもなくエスニック調でもない。まるでそれは遠い昔からあるようで、だけど誰も見たことのない景色。

過去と未来をつな学校、グリーンスクールから生まれたデザイン集団・IBUKUが作り出す世界観だ。

バンブーエコロジー

IBUKUとはインドネシア語で“母、母なる大地”を意味する。インドネシア国歌においてもこう歌われる。

Di sanalah aku berdiri Jadi pandu “ibuku”  “母なる大地”を導くために まさに私はここに立つ

バリ人のみならず、多くの外国人にも愛されるバリの母なる大地。その美しさを大切に守りながら、尚且つ未来へ向かってチャレンジするのがIBUKUのデザイン。

IBUKUの手による建築群は、全てが竹で作られた学校グリーンスクールをはじめ、周辺に点在する関連施設において見ることができる。

グリーンビレッジ greenvillage バリ グリーンスクール

そのなかでも2014年にグリーンビレッジ内に完成した6層からなる巨大バンブーハウスは、特筆に値するだろう。その荘厳な美しさは見る者全てを驚嘆させ、数多くの著名建築デザイン賞を受賞。一気に世界の注目が集まった。

オーナー不在時は宿泊客に貸し出されるが、予約を取るのは至難の業。Airbnbではバリで一二を争う人気となっている。

「バンブーハウス」がバリを変える!持続性を追求した竹の魅力

IBUKUが目指すコンセプト、母なる大地。できる限りその土地を傷つけず、建築物が周囲に与える環境負荷は最低限に抑える。建築資材はほぼ竹のみ。3〜5年で大きく成長し建築資材となる竹は、あらゆる面で無限の可能性を秘めている。

経済的にも環境的にも高いポテンシャルを有し、IBUKU独自の加工法により驚異的な持続性を獲得。最低でも25年は強度を維持できると、複数の研究機関によって試算されている。

グリーンビレッジ グリーンスクール バンブーハウス 竹建築

デザイナーやエンジニアには、多くの若いインドネシア人を起用。また建設チームには、住宅の近代化で伝統的技術を失いつつあった職人たちを雇用。

バリやインドネシアの各島の伝統的建築様式と、未来的で斬新なデザインが融合された、全く新しい建築群が誕生した。

IBUKUが提示する未来のバリ

このチームを率いるのはエローラ・ハーディー。グリーンスクールの創設者ジョンとシンシア・ハーディーを父母にもつデザイナーだ。


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アートスクールを卒業後、幼い頃からの憧れであったニューヨークへ渡り、ファッション広告デザイナーとしてキャリアをスタート。ダナ・キャランをはじめ、世界トップクラスのデザイナーたちと交遊し、順調に夢の階段を上っていた。

しかし、転機が訪れる。突如両親がそれまでの家業であったジュエリービジネスを投げ打って、前代未聞のエコ・スクール作りのプランをエローラに打ち明ける。今まで世界のどこにも存在しなかった、全く新しいデザインによる学校だ。

エローラはNYからバリへと帰国し、デザインチームIBUKUを結成。試行錯誤しながら次々と校舎や住居をデザインし、母なる大地の上に作り上げていった。


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グリーンスクールやグリーンビレッジなど、これら建築群には毎日100人以上の見学者が訪れる。今やバリでも人気の観光スポットだ。IBUKUの手による住宅建設は年々人気が高まり、今や施工まで数年待ちの状態。

そしてついには、大手リゾートホテルもこれに注目し始める。世界的ラグジュアリーホテルブランドのフォーシーズンズは、新しく手掛けるヨガスタジオにIBUKUを起用。また、2015年夏にウブドに新規オープンするリッツカールトンも、レストランデザインにIBUKUを起用した。

IBUKU RITZ CARLTON FOURSEASONS グリーンスクール

母なる大地に次々と立ち上がる、持続可能性を極限まで追求したバンブーハウス。伝統的デザインと未来的なデザインが奇跡のように融合した、全く新しい世界観がバリから始まろうとしている。

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