アップルが電力事業に進出?「太陽光発電」に8.5億ドルの投資を表明

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2015年02月17日 20:30  FUTURUS

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FUTURUS(フトゥールス)

石油や石炭といった地下資源エネルギーの埋蔵量が年々減少し、残された可採年数が現在生きる私たちにとっても現実的なものとなってきている。

そうした従来型のエネルギーに代わるものとして、シェールガスといった非在来型天然ガス資源や再生可能な新エネルギーが注目を集めているが、前者はコストや環境対策の遅れ、後者は安定した供給量の確保といった面で課題を抱えている。

そんななか、米テクノロジー界の巨人アップルが、カリフォルニア州に建設される太陽光発電所に25年で8億4,800万ドルを出資することを発表し、大きな話題になっている。

低コストのソーラーパネルを手掛けるファーストソーラー社と契約

米アリゾナ州に本社を持ち、テルル化カドミウムという特殊な素材を利用することで、低コストのソーラーパネルを製造しているファースト・ソーラー社は10日、カリフォルニア州モントレーで展開するプロジェクトに、アップルが8億4,800万ドルを出資すると発表した。

同日にはアップルのCEOティム・クック氏が、サンフランシスコで開催されていたGoldman Sachs Technologyのカンファレンスでこの出資を表明し、注目を集めている。折しも、この日はアップルの株価が米企業で初めて時価総額7,000億ドルを超えた日となり、今後の世界のエネルギー事情を占う大きなニュースとして印象付けられた。

アップルは今回の契約で、2015年中頃から建設が開始される2,900エーカーの広大な発電所から、130メガワットの電力を受け取ることに。ファースト・ソーラー社のCCOであるJoe Kishkill氏は「アップルの今回のコミットメントはプロジェクトを成功させる手助けになり、そしてカリフォルニアでの太陽光電力供給を著しく増加させるだろう」と説明している。

Apple ソーラーパネル2

発電所から得られた電力はエンドユーザーのもとに

この発電所から得られる130メガワットは、アップルがクパチーノに建設を進める新社屋や、カリフォルニア州にあるデータセンターおよびリテーラーまで全てを賄えるほどの電力だが、同社が直接これを使う予定はないという。Pacific Gas and Electricに販売され、エンドユーザーによって消費されるようだ。

発電所全体でどのくらいのコストがかかるのか、あるいはキロワットアワーでアップルにとってどのくらいの出費になるのかは明らかではない。

今回の出資が「高額なもの」になったという見方もある一方で、従来型エネルギーの価格が今後も上がると予想されていることを考えると、「アップルは賢い決断をした」(MIT Technology Review)とする評価もあがっている。

太陽光発電はコストに見合わないか

日本でも固定買取制度の見直しが進められるなど、太陽光発電事業者に厳しい状況が進んでいる。しかし、今回の動きを受けて、海外はもとより国内の大企業が長期的な費用便益分析から、太陽光発電が「コストに見合う」ものと判断する可能性もあるのではないだろうか。

今後の世界のエネルギー事情を考える上で重要な転換点になることに期待したい。

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